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CBcloud、オンライン服薬指導で処方薬を即日配送

メディカル配送プラットフォームを手がけるCBcloud(CBクラウド、東京都千代田区)は16日、オンライン服薬指導サービス「薬急便」を通して処方薬を即日配送するサービスを3月から始めると発表した。CBcloudと、「薬急便」を展開するMG-DX(東京都渋谷区)が業務提携を締結。緊急・即日配送に強みを持つ同社の代表的なサービスPickGo(ピックゴー)と「薬急便」が連携することで、利用者側と薬局スタッフ側の双方の負担を減らし、利便性向上を図っていく。

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CBcloudによると、サービスによるオンライン服薬指導後、薬局に出向くことなくその日のうちに服薬を開始することができ、薬局側は面倒な手配なくオンラインで配送手続きをすることで、本来の業務に専念しながら、顧客の利便性向上を図ることが可能になる。

背景には、4月に予定されている2022年度診療報酬改定に向け、オンライン服薬指導実施要件の変更など、多岐にわたる制度改定議論が進んでいることがある。

制度改定をきっかけに、診察の実施手段にとらわれず、薬剤師の判断でオンライン服薬指導が実施できるようになる見通しとなっていることから、同社は、診察後の患者が「『薬局に行かなくても好きな場所でお薬を受け取れる』という新しい薬局体験の広がりに期待が高まっている」としている。

薬局にとっても処方薬の配送は、オンライン服薬指導を実施する際の大きな課題になっていた。

服薬指導を受けてから処方薬が患者の手元に届くまでに大きなタイムラグが発生しないようにすることや、薬の種類によっては配慮が必要な温度や湿度など品質管理への配慮が必要となるなど、処方薬を安全に素早く届ける配送手段の確立が求められていた。

配送ニーズが高まっているものの、薬局が自社で配送手配または配送自体を担うことを負担に感じるケースも見受けられていた。

(出所:CBcloud)

このような背景を受け、「薬急便」と、全国に4万人以上の配送パートナーが登録するピックゴーがタッグを組むことで、患者と薬局双方の課題解決を図ることとなった。

同社は、処方薬の即日配送を配送ニーズの高い関東圏から地方都市など全国へ順次拡大していきたいとしている。

また、自宅だけではなく、職場や駅・商業施設などの宅配受取ロッカーへの配送など、さまざまな受け取りニーズに対応できる配送構築にも共同して取り組む予定。同社は「患者にとって最も便利なお薬の受け取り体験を追求していきたい」としている。

MG-DXは「高齢者層や、仕事、育児、介護などで忙しい方の薬局訪問の負担を減らし、医療へのアクセシビリティ向上に貢献していく。また、薬局スタッフの配送の手間を減らし、配送のプロによる安心・安全な医薬品の配送を実現を図っていく」とコメントしている。

コロナ禍と診療報酬改定を処方薬輸送ビジネスの参入「好機」と判断したCBcloud

CBcloudが処方薬の即日配送サービスに参入するのは、少子高齢化がさらに加速する将来、需要の拡大を見込める医薬品輸送ビジネスの基盤を構築することで、収益の柱に育てる狙いがある。こうした戦略を結実するための課題は、特に地方部でのドライバー人材の発掘・確保だ。

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新型コロナウイルス禍を契機として、オンラインによる医療が国民に浸透してきている。外出自粛ムードもあり、在宅での服薬指導も急速に定着しつつあるなかで、処方薬の配送サービスが広がれば、在宅しながら医療受診が完結することになる。しかしながら、医薬品の輸送は繊細な管理を要するなど、必ずしも低いハードルではなかった。

こうした事情に敏感に反応したのがCBcloudだった。2022年度診療報酬改定に向け、オンライン服薬指導実施要件の変更などの制度改定議論が進んでいることも、処方薬輸送ビジネス参入の好機と判断する材料になった。CBcloudは、さらなるドライバー確保の精度を高めることで、輸送品質の確保・向上に努めるとともに、大都市圏から地方部へのビジネス領域の拡大を図るチャンスを得たとも言える。まさにCBcloudのビジネスモデルを生かせる分野として、処方薬輸送サービスの成功例を創出してほしい。(編集部・今川友美、清水直樹)