拠点・施設
生産・物流施設では、「先進的な生産・物流施設」を実現するため作業効率の高い立体自動倉庫を構成する提案が増えている一方、大地震後の事業継続性(BCP)を高めるために効果の高い荷崩れ防止策が必要となり、その分コストが掛かるという課題がある。
ラック頂部の変形を利用して制震装置がエネルギー吸収を行うため、積荷の多寡によらず制震効果が期待できる。高い制震効果を持つため制震装置の設置基数を抑えることができ、市販の制震装置も利用できる。
制震装置はラック頂部のわずかなスペースにワイヤーロープを介して設置するため、パレットを占有することがなく、倉庫の稼働率に対する影響はわずか。省スペース性を生かし既存のラック倉庫にも適用できるという。
実験概要では実機を模擬した試験体を製作し、ワイヤーロープを利用した制震工法の性能検証実験を実施。東北地方太平洋沖地震で観測された地震動などを用いて加振実験を行い、頂部の変位や加速度を3分の1から半分程度低減できることを確認した。
今後は、立体自動倉庫の導入を検討している物件を対象に工法を提案していく考えで、工法が適用された場合に最大限の効果が発揮できるよう、振動解析やシミュレーションなどを行う。