産業・一般
こうした工事は珍しく、同社では「あたかも一夜城を築くように巨大橋脚の据付がわずか半日で終了する」と説明している。また、九島側の橋脚(鹿島JV)も、同じ工法によって5日後に施工される。
この工事は、宇和島湾に浮かぶ離島の九島と内地の坂下津地区を結ぶ長さ468メートルの九島大橋を支える2基の橋脚のうち、1基を建設するもの。清水建設JVは、昨年1月に坂下津側の橋脚工事を受注、15日の一括据付に向けて準備を進めてきた。工期は来年3月まで。
通常、水中での橋脚建設は、仮設の鋼製板などで建設場所の周囲を締切り、排水した後に工事に着手するが、今回は水深が30メートルもあり、仮設の締切り工事が大掛かりになることから、工期とコストを踏まえて陸上で製作した橋脚を一括据付する工法を採用した。
坂下津側橋脚の規模は、柱部が6メートル角・高さ27メートル、底盤部が18.7メートル角・高さ5メートル。一括据付するのは、陸上で製作した柱部と一部の底盤で、自重3300トン、ワイヤーなどの吊具と合せた総重量は3600トン。
いずれの鋼管杭も、位置・打設長ともミリ単位の施工精度が求められたが、すべてクリアしているという。
15日は、まず午前6時10分に大型クレーン船により作業ヤードに仮置きしている巨大橋脚を吊り上げ、1.8キロ離れた据付地点までの曳航を開始。橋脚の据付地点への到着は8時10分頃、据付(沈設)作業の着手は9時30分頃、橋脚の自立は12時頃となる見通し。その後、吊具の撤去作業などを経て午後2時30分頃、クレーン船が据付ポイントを離れる。
橋脚と杭を一体化させる底盤の構築作業には6月初旬に着手し、2週間かけて底盤部にコンクリートを1400立方メートル打設する。コンクリートを流し込むための鋼製型枠は、橋脚にセットして海中に吊り込む。底盤用のコンクリートには、海中でも打設できる水中不分離性コンクリートを採用。清水建設JVでは、実物大の底盤型枠を一部製作し、水中不分離性コンクリートの打設試験を行っており、打設方法や充填性、品質は確認済み。
15年3月までに坂下津側橋脚を完成し、引き渡しを終える。九島大橋全体の完成は16年3月。