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鉱工業、生産基調「生産は緩やかな持ち直し」に上方修正

調査・データ経済産業省が11月30日発表した10月の鉱工業指数(速報)によると、生産は季節調整済指数105.9で前月比2.9%低下となった。今回の10月分から、速報も2010年から15年に基準年を更新した。基調判断は、「生産は緩やかな持ち直し」に、上方修正した。

15年基準の鉱工業生産では、9月確報は前月比マイナス0.4%低下(2010年基準速報値ではマイナス1.1%)だったため、それを大きく上回る上昇幅となった。7-9月期は、自然災害の影響もあり、一時的に鉱工業生産が低迷したが、そこからの反動分を含めて、10月には大きな生産回復をみせ、高い水準の鉱工業生産となったことになる。

(以下画像の出所:経済産業省)

鉱工業生産を業種別にみると、13業種が前月比上昇、2業種が前月比低下となった。今回の基準改定で、細かい業種分類にしており、輸送機械工業を自動車工業とそれ以外に分割したり、化学工業から無機・有機化学のような原材料を中心に上流業種を分離し、消費財的な化学工業の動きを示すと考えられる化学工業(除く無機・有機化学工業、医薬品)と分割したりしている。

10月の生産上昇への寄与が大きかった業種は、汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、そして自動車工業だった。この3業種それぞれの上昇寄与は、0.5%ポイントを超え、続いて、電気・情報通信機械工業が0.4%ポイントほどの上昇寄与、輸送機械工業(除.自動車工業)が0.2%ポイントほどの上昇寄与で続いている。

鉱工業出荷は、指数値106.6、前月比5.4%上昇した。指数値106.6は、4月の105.2を超えてことしの最高値となっている。17年平均の出荷指数が102.2で、10月の前年同月比も7.7%と大きく上昇していることから、10月の出荷は「高い水準にある」と分析した。

業種では、鉄鋼・非鉄金属工業、自動車工業、電気・情報通信機械工業などが上昇寄与業種として並んでいる。全体15業種のうち、石油・石炭製品工業を除く14業種の出荷が前月比上昇となっている。

鉱工業在庫は、指数値101.2、前月比1.4%低下と2か月ぶりの前月比低下。出荷の勢いがあり、生産増の下でも在庫が低下となった。在庫の前月比低下マイナス1.4%に対して、鉄鋼・非鉄金属工業の低下寄与がマイナス1.15%ポイントと、大部分を占めた。

鉄鋼・非鉄金属工業の在庫は9月に、前月比5.2%上昇、前年同月比10.9%と方向感、水準感ともに高くなっていた。そこから10月の在庫は、前月比マイナス6.3%で3か月ぶりの低下、前年同月比マイナス2.3%で13か月ぶりの低下となり、「方向感、水準感ともに、在庫圧力の低下を実感できる動き」となった。その在庫指数値100.9は、ことし1月と同じ値であり、最低値となっていることから、「年央に積み上がった在庫が解消された」とした。