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長尾次期社長「新しい事業形態を模索」、ヤマトHD会見

長尾裕・ヤマトホールディングス次期社長

ロジスティクスヤマトホールディングスの山内雅喜社長とヤマト運輸の長尾裕社長は21日会見し、4月1日付で山内氏が取締役会長に就任すること、後任の社長に長尾氏が昇格することを決めた経緯などについて説明した。

▲ ヤマトホールディングスの山内雅喜社長

社長交代の狙いについて、山内氏は「2019年はヤマト100周年の大事な年で、中期経営計画2019の最終年度にあたる。次の中期経営計画に入るタイミングで社長を交代し、次の100年をスピード上げた状態でスタートさせたいと考えた」と説明。法人向け引越事業の不祥事を受けた引責辞任かとの問いには「不祥事は真摯に受け止め、グループ全体で向き合ってきた。今回の決断は不祥事による引責の意味合いはない」と否定した。

また、次期社長に長尾氏を選んだ理由として「顧客の立場に立って考え、行動するというヤマトのDNAと、既存の慣習にとらわれない新しい構想力と実行力を持っている」ことを挙げた。

これに対し、長尾氏は「創業100周年の節目の年、バトンタッチの責任の重さを感じている。まずは、山内社長が陣頭指揮を執ってきた中計『KAIKAKU 2019』を完結させ、同時に次の100年に向けた構想を進めていかなければならない」「働き方改革を断行して、現在は効果が出てきている。新しい形の事業形態を模索しなければならない」と、社長就任に向けた意気込みを語った。

山内雅喜氏(右)と長尾裕氏(左)

■主な質疑
――(今回の社長交代は)攻めの布陣という認識でいいのか。

山内氏:デリバリー部門を中心に構造改革の成果が出てきている。順調に回復から成長に向かっている。新しい発想のもとに実行する力が次の100年に生きてくる。

――働き方改革は道半ばという認識か。

長尾氏:認識と意識の共有に時間を要して計画よりスタートが遅れたが、スタート後の進捗は予定通り。アンカーキャストもおよそ5000人の体制になり、2期続けて改善できている。4月からはさらに働き方改革が進むだろう。

――(社長交代は)責任を取るという意味合いがあるのか。

山内氏:社長就任は年齢ではない。世の中の変化が激しい中で、新しいチャレンジを実行する力が必要だ。不祥事は真摯に受け止め、グループ全体で向き合ってきた。今回の決断は不祥事による引責の意味合いはない。

――長尾新社長のチャレンジ経験を教えてほしい。

長尾氏:第一線の現場をやっていると日々チャレンジだった。ここまでのキャリアは常に新しいポジション。必要に迫られて勉強と人脈を作ってきた。

――長尾新社長の趣味など人柄がわかるものを。

長尾氏:大学時代は体育会テニス部、昨今はゴルフ。趣味は音楽を聴くことで、洋楽・邦楽含め1000枚ほど保有している。

――引越事業の問題について。

長尾氏:まずは会社としてのやるべきことを遂行したい。国交省からの行政指導の内容を徹底するため、社内でコンプラ作りや商品構成などを再考しなければならない。顧客の立場に立って遂行したい。現段階で、(引っ越し事業の受託)再開の時期は明言できない。この3月の繁忙期はまず無理だろう。

――国際物流については。

長尾氏:ネットワーク作りは自前ですべて整える必要はないと考える。アライアンスを含めたネットワーク作りを加速させていく。

――新しい長尾体制はどんなものになるのか。

長尾氏:シェアだけをKPIにするつもりはない。世の中のニーズに応えることを第一に考えて、宅急便が今のニーズにフィットしているのかを再考している。新しい提案を模索している段階だが、早期に見つけ出したい。CtoCは年間取り扱い18億個の1割弱だが、やめるつもりはない。BtoBの領域では後発。明確にチャレンジだと考えている。BtoBでは宅急便だけが答えではない。

――法人向け引越事業の不祥事があったが、企業からの信頼回復はどう考えているのか。

長尾氏:信頼回復は一朝一夕ではできない。引越事業以外の付き合いがある企業が多く、ほかの事業でのお付き合いの中で信頼回復に努めたい。