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ミツウロコ、LPG配送効率化へ名古屋で大規模実証

調査・データミツウロコグループホールディングス傘下で業務サポート系の事業を手がけるミツウロコクリエイティブソリューションズ(ミツウロコCS)は8日、NECの「LPガスメーター指針値提供サービス」を利用した大規模実証を名古屋市周辺で行う、と発表した。

これまでLPガス配送事業者は、月に1、2回人手で取得するLPガスメーター指針値や過去のガス消費実績からLPガス容器内のおおよそのガス残量を予測し、LPガス容器の配送計画を立案。多くのLPガス配送事業者は消費者宅に2系統(供給側の系統と予備側の系統)設置してあるLPガス容器を交互に交換し、おおよそのガス残量予測による配送で生まれる非効率な部分を許容することで、ガス切れのリスクを回避していた。

今回の実証では、日次で取得した指針値により、LPガス容器内のガス残量を正確に把握し、配送業務効率化と物流コスト削減の具体効果の測定とエビデンス獲得を目指す。実証実験は12か月間にわたって数千世帯を対象に指針値取得の自動化、LPガス容器の配送効率化、物流コスト削減の具体的な効果を測定する。また、双方向通信可能なほかのLPWA網を一部で利用し、保安面の強化も併せて検証する。

▲LPガスメーター指針値提供サービスの概要(出所:ミツウロコクリエイティブソリューションズ、NEC)

LPガスメーター指針値提供サービスは、ミツウロコCSが全面協力してNECが開発し、全国のLPガス事業者・配送事業者向けに今夏から提供するもので、消費者宅のLPガスメーターに「LPWA対応IoT無線化ユニット」を設置し、通信網に京セラコミュニケーションシステムが提供するIoT向けのネットワーク「Sigfox」を主に用いてLPガスメーターの指針データを遠隔から網羅的に高頻度・低コストで収集できるようにする。

ミツウロコCSは、実証の実施主体として、指針値の日次取得に対応した配送システムの構築、無線化ユニットの設置工事から現場運用支援、指針情報の収集・処理、保安情報の収集・処理までを一元的に行い、エネルギー事業を行うグループ会社のミツウロコ、ミツウロコヴェッセル、ロジトライと協力しながら配送業務の効率化と物流コスト削減の効果測定を実施。これらの取り組みで配送回数を最大50%近くまで減らす。

従来方式の配送方法との比較・分析を行うことでノウハウの蓄積を行うとともに、配送業務の高度化と保安面の強化に向けた取り組みに着手。配送現場の課題を抽出し、ノウハウとして蓄積することで、ほかのLPガス事業者に対するサービスのより効果的な活用方法や、配送業務の効率化・物流コスト削減に向けたコンサルティングサービスにも活用。実証で得られたデータの分析と現場ノウハウの活用を進め、配送ルートの自動構築とLPガス配送車両への容器積載指示の自動化による「属人化の排除」にも取り組んでいく。