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NTTロジスコの検品作業にAI画像認識、生産性を向上

サービス・商品NTTロジスコは2月1日、埼玉物流センターに「AI画像認識技術を用いた自動検品システム」を導入した。回収して再利用するモデムや電源アダプターなどのレンタル機器のセット化の工程において、検品作業の生産性を向上させることが目的。新たな技術の導入により、1人あたりの処理台数は60%増え、熟練作業者に依存せずに検品ミスをなくすことが可能になったという。

同社によれば、これまで再利用するレンタル機器のセット化の工程では、電源アダプターにバーコードなどの商品識別子が付いていないことから、作業者が目視で確認する必要があった。また、その後はWMSに物品コードを入力するとともに、誤判定を防止するために2人体制で検品を実施していたという。

今回導入した技術では、カメラがモデムなどの製造番号とアダプターの物品コードを同時に撮影。AIが文字情報を認識したのち、自動でテキスト化し、システム上で検品を完了させる。AIの機械学習により、1時間あたりの最大処理能力は120台、検品可能な品目は100品目にまで増加しており、今後は他製品の検品作業にも導入する。

懐かしき「コック倉庫」の進化版

かつての精密機器や電化製品などの部品倉庫を知る物流人なら「ひと昔前のコック倉庫を思い出すなぁ」という独り言とともに本記事を読んだかもしれない。
部品製造と調達は国内。組立製造は海外。最終検品は再び国内。というのが多くの機械メーカーの常だった。
万全の管理が行き届かない可能性のある海外工場での製造品質維持には、単純な組立ライン作業が必須とされた。、その前さばきとして組立必要部品のキット化とキッティングに必要な部品の督促業務まで倉庫側で担っていた。

必要な製造数の分だけ部品出荷ができる――まるでコックをひねるように部品の入出荷調整が可能――という機能性から名付けられたのがコック倉庫のいわれだ。

最大の難所は製品組立に必要な部品数量を過不足なくキット化することなのだが、その際に組合せの間違いがあれば、遠い海外工場での組立業務に支障が生じる。したがって、ピッキング担当者とキッティング担当者はミス防止に細心の注意を払って日々の業務にあたっていた。熟練と注意力の賜物だった組合確認の自動感知が利器によって可能となっている。まさに「隔世の感」という言葉に尽きる。(企画編集委員・永田利紀)