国内九州を地盤とする運送会社のツルク(福岡県大刀洗町)は24日、大刀洗町と包括協定を締結した。町政情報などの発信、災害時の対応に加えて、住民へのサービス向上や地域活性化、食育、スポーツ振興などに関して提携する。同社は1年半前に創業の地を離れ、同町に本社を移転している。
同日には町役場で締結式と、ピーアール活動の一環として制作したラッピングトラックの出発式を執り行った。デザインに大刀洗町の観光や特産品などをあしらったもので、今後は町主催イベントのステージ車両としても使用するという。
地域一体型の事業推進が主流に
かねてから論じているように、今後の地方自治体運営は、地元企業との連携なしでは語れなくなるだろう。単なる産業振興や土地開発行為の出口にとどまるのではなく、地域社会の基盤を支える機能としての事業活動が求められるようになる。
その流れは大きくなるばかりと考えているが、常々説明してきた通り、物流企業は自治体にとって好ましいパートナーである。企業側からの視点で見れば、各社の掲げるBCM(事業継続マネジメント)は所在地域の機能継続あっての産物である。
なおかつ、ここでいう「継続」のためには、具体的な機能回復や、停止時の代替稼働を担う設備や駆動力が必要だ。それら諸々の想定課題は、物流を起点に考えることで、ある程度及第点を得られるはずだ。加えて、現在から将来に向けての、福祉や消費行動のサポートまで包括した地域サービスが実現できる。
「モノを運ぶ。モノを保管する。モノを出し入れする」は日常生活を営む者にとっての欠かせない要素だという、当たり前のことを当たり前に行えるのは、他でもないわが業界の各社なのだ。(企画編集委員・永田利紀)