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清水建設、立体自動倉庫の荷崩れ防止技術を確立

話題清水建設はこのほど、制震装置、パレット脱落防止金具、フィルムやバンドを使ったパレット上の荷物の拘束で、地震の揺れによる立体自動倉庫の荷崩れを防止する技術を確立した。

 

この技術は既存、新築を問わずに適用可能で、同社は「特に対策を急ぐ既存立体自動倉庫を所有する顧客企業を対象に、この対策技術を核とするBCP提案を実施していく」としている。

 

立体自動倉庫では荷物はパレットに段積みされ、パレットごとラックの中に収納されるが、パレットはラックに載っているだけで固定されていないため、地震でパレットが大きく移動してラックから落下することや、パレットは落下しなくても段積みされた荷物が崩れて落下することがあった。

 

また、建物の構造体は地震による被害を受けなくても、落下した荷物で倉庫の自動搬送機能がストップすることがある。昨年3月の東北地方太平洋沖地震では、このような荷崩れの発生によって倉庫の業務再開まで数か月を要した事例もあり、BCPの観点から荷崩れの防止技術の確立が大きな課題となっていた。

 

そこで清水建設では、制震装置、パレット脱落防止金具、パレット上の荷物の拘束によって、荷崩れを防止する技術を確立。制震装置をラックの最上段に設置し、パレットの落下を防止する。制震装置は、通常の荷物と同様に自動搬送設備で設置位置まで搬送し、ボルトでラックと結合することで容易に設置でき、倉庫を使用しながらの施工が可能。

 

制震装置の数を増やすと保管率が低下することから、保管する荷物の重量を考慮しながら、できるだけ少ない装置で制震効果が発揮できるよう、装置のおもり重量と配置を決める。この対策技術を既存倉庫に適用する場合、構造体の補強などの改修を行う必要はないという。

 

パレットの横方向の動きを止めるパレット脱落防止金具をラックのパレット収納スペースの両脇にボルト結合で設置することで、パレットの移動を制限し落下を防止する。

 

同社が行ったシミュレーションでは、東北地方太平洋沖地震時の関東地方の揺れを想定した試験で荷崩れが発生しなかった。価格はおもりの重量や施工条件などで異なるが、制震装置は1台100万円、パレット脱落防止金具は1セット5000円が目安となる。荷物の拘束はフィルム巻き機械や市販のバンドを購入することで実施できる。