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DIC、ウィーンにPPSコンパウンドの新プラント建設

アパレルDICは7日、オーストリアの首都ウィーンで、1400万ユーロ(約15億円)を投じ、PPSコンパウンドの新プラントを建設すると発表した。

 

新プラントは2012年末に完工し、試運転を経て商業生産を開始するが、これに先立ち9月30日に欧州の大手化学メーカーSolvay社からPPSコンパウンド事業を譲受することで合意した。これにより、欧州市場での同社の速やかなPPS事業基盤の強化を図る。

 

PPSコンパウンドは、耐熱性ポリマーであるPPS樹脂に、ガラス繊維や無機質フィラーを充填することで強度を大幅に引き上げたコンパウンドで、金属の代替品として自動車、電気、住設向けを中心に、需要が拡大している。

 

欧州のPPSコンパウンドの需要は年間約1万5000トンと、日本の3万トンに次ぐ規模があり、今後も自動車電装向けを中心に年間6-8%の成長が見込まれている。同社では、新プラント建設と事業買収による欧州市場への参入により、現地生産による顧客ニーズの吸い上げ、デリバリーの改善などによって欧州市場で拡販を図る。

 

新プラントの生産能力は稼動開始時点では6000トンで、将来的には年産1万トンまでの生産ラインの拡張が可能。同社グループでは数年後に、欧州でのPPSコンパウンドのシェア20%以上を目指すが、今後の需要増大にも円滑に対応することで、世界トップシェアの地位確立を目指す。

 

同社グループではこのほか、7月に約5億円を投じてマレーシアの生産能力を年産1500トンから4500トンへ増強。今回のオーストリアでの約15億円を投じる新プラントは、これに続く生産能力拡大となる。また、PPS樹脂についても鹿島の生産拠点に約80億円を投じて2013年に新プラントを完工する。グループで合わせて約100億円を投じたグローバルベースでのPPS増産一大プロジェクトを進めている。