話題物流業界の構造的な人手不足の打開策として、近年急速に関心を集めているのが外国人ドライバーの採用だ。しかし、多くの物流・運送企業がその必要性を痛感しながらも、言語や文化の壁などへの懸念から、最後の一歩を踏み出せずにいる。
そうした中、総合物流大手のSBSグループでは、外国人材の受け入れ・定着に向けた先駆的な取り組みを着実に進めている。同グループの採用支援を伴走するのが、国内外で日本語教育・グローバル人材紹介を展開するWEWORLD(ウィワールド、東京都新宿区)だ。同社はドライバーだけでなく、バックオフィスや将来の管理職候補、さらには来年から取り組む予定の倉庫分野を含めた幅広い人材の採用支援を行っている。また、同社は国内最大の日本語学校グループを運営しており、日本国内に滞在している語学学校在校生・卒業生を、コストを抑えて採用できるのが同社の特徴。SBSグループにおける外国人ドライバー採用の具体像、受け入れのリアルな壁、そして定着を支える仕組みの全貌に迫る。
物流企業が抱える「外国人採用」のリアルな壁
「どの物流企業も、『自社の看板を背負って運転する以上、万が一にも重大事故を起こしたらどうするのか』という点を最も心配している。企業イメージの失墜や荷主からの信頼低下に対する懸念が、採用拡大における一番高い障壁になっている」
そう語るのは、WEWORLD 人材事業部(GLOBAL REACH)キャリア・リクルーティングアドバイザー・リーダーの井上洋輔氏だ。
加えて、運転免許取得のハードルも立ちはだかる。外免切替の手続きは予約の確保を含めて難度が増しており、費用や取得期間の負担が企業・求職者双方の足かせになりやすい。さらには、荷受先の担当者から「外国人ドライバーで本当に時間通り・安全に荷物が届くのか」という色眼鏡で見られるリスクを危惧する声も少なくない。
SBSグループの挑戦:グループシナジーを生かした採用スキーム
こうした障壁に対し、独自のスキームで道を切り拓いているのがSBSグループだ。
「SBSグループではドライバー不足対策のため、すでに海外人材の受け入れ準備を進めていた。弊社の日本語学校機能と、SBSの持つ教習インフラが合致し、それとは別に協業に向けた検討が本格化した」
一般的な外国人材採用では、海外現地での募集・選考、現地教育、そして複雑な入国手続きを経て来日するまでに半年から1年近くを要するケースも珍しくない。これに対し、WEWORLDの大きな強みは、「すでに日本国内に滞在し、日本社会での生活基盤がある人材」を対象にできる点にある。
対象となるのは、同社が運営する日本語学校の在校生や、国内で就労経験のある転職希望者たちだ。彼らはすでに一定の日本語力や日本の生活習慣・文化への理解を身につけており、来日直後にありがちな生活面でのカルチャーショックやトラブルのリスクが極めて低い。また、海外からの渡航手続きのコスト・手間を省き、迅速な採用・配属へと繋げられる利点もある。
▲WEWORLD 人材事業部(GLOBAL REACH)キャリア・リクルーティングアドバイザー・リーダー の井上洋輔氏
SBSグループの強みは、グループ内に自動車学校(教習所)を擁している点にある。国内在住の求職者情報をWEWORLDが提供し、窓口となる同自動車学校を通じて、採用ニーズを持つグループ各社が選考を進める体制が整備された。
具体的な採用成果も生まれている。首都圏を中心に即日配送などを手掛けるSBS速配サポートでは、今年7月にミャンマー出身の人材を1人採用した。
「この人材は内定時点では免許を持っていなかったが、会社負担で免許を取得。特定技能1号を目指す準備期間として『特定活動』ビザで入社し、免許取得を経て切り替え手続きを進めている段階だ。普通車から実務に入り、段階的なステップアップを図る計画だ」
また、四国・香川県を拠点とするグループ会社の日の丸急送でも地方拠点への転居を伴う採用が決定。現在も8-9人が選考プロセスに乗っており、首都圏のみならず地方を含めたグループ全体へ波及しつつある。
採用だけで終わらせない「定着」と「業界標準づくり」
外国人ドライバーの雇用において、大きな課題となるのが「定着」だ。特定技能制度では転職の自由が認められているため、受け入れ後の待遇や環境に不満があれば、他社へ流出してしまうリスクがある。
定着を担保するため、WEWORLDでは手厚い伴走支援を展開。日本語学校在学中から生活習慣や日本の文化習慣に関するオリエンテーションを実施。受け入れ企業に対しては、入社までのフローやサポート体制を明記した「受入計画書」を提示して受け入れ体制を整える。
さらに、入社後には制度で定められた3か月に一度の定期面談だけでなく、入社直後の最も不安が大きい時期には、オンラインを活用した随時の個別相談を実施している。「初期の生活や職場の摩擦を放置せず、初期段階で個別ケアを徹底することが早期離職の防止に直結する」と井上氏は強調する。
また、外国人材がドライバー職を選ぶ最大の動機は、他業種に比べて高い給与水準だ。しかし、給与が固定化されキャリアアップの機会がないという閉塞感が転職の引き金になるケースも少なくない。井上氏も「ほかの免許を取得したり、深夜手当が出ないゴミ収集の仕事に『将来性を感じられない』と転職したりした例もありました」と語る。入社時の給与ベースだけでなく、上位免許の取得支援や明確なキャリアパスの提示こそが、定着率を高める重要なカギとなる。
1000人規模が集う「WEWORLDキャリアEXPO」の全貌
外国人材の採用・活用を検討する物流企業にとって、自社の求める人材層と直接出会える場となるのが、来る10月15日・16日に開催される「WEWORLDキャリアEXPO」だ。
会場となるのは、同社のグループ学校であるISIキャリアアカデミー高田馬場校。出展企業は最大28社に限定され、来場する求職者はおよそ1000人を見込む。来場者のおよそ8割はWEWORLDが運営する日本語学校への留学生で、残りは外国人の専門学校生や大学生、そして日本国内での就労経験を持つ転職希望者で構成される。すでに国内で暮らす意欲的な求職者と「直接対面」し、表情や日本語の受け答え、立ち居振る舞いをその場で確かめた上で選考を行える点が、受け入れ企業にとって最大の安心材料となっている。
▲WEWORLDキャリアEXPOでのSBSグループの説明会の様子(出所:WEWORLD)
このイベントが一般的な合同企業説明会と一線を画すのは、徹底して「採用成果」にこだわった2日間のプログラム設計にある。
「1日目の合同説明会は、出展企業1社に対して独立した『1教室』を面談会場として用意。周囲の騒音や雑音に邪魔されることなく、自社の事業内容や物流の面白さ、求めるドライバー像をじっくりと落ち着いて説明できる環境だ。また、当日は求職者向けの物流業界セミナーも企画しており、これまでドライバー職を認知していなかった優秀な層にもアプローチできる」
そして、最大の特徴が2日目の「採用面接会」だ。
「参加希望の企業からは、事前に求人票を預かり、弊社のキャリアアドバイザーが求める要件に合わせて候補者をスクリーニング。マッチング度の高い人材と対面で1次面接を実施できる。前日の説明会を聞いてその場で応募を決めた人材も追加予約できる仕組みで、通常の『母集団形成→エントリー受付→書類選考』というプロセスにかかる時間を大幅にショートカットでき、回によっては1開催で10人以上の内定が決まることもある」
さらに井上氏は、物流企業がこのEXPOで獲得できる人材は、ドライバー職にとどまらないと語る。
「弊社のキャリアアカデミーで学ぶ学生は、母国で大学を卒業した後に来日している人材が大半を占める。すでに母国の物流業界で実務経験を積んできた人材も多く、ドライバーに限らず、将来の現場マネージャー候補や配車管理などのバックオフィス人材としても非常に有望だ。さらに弊社では、来年から本格的に取り組む予定の倉庫分野を含め、幅広い職種での採用支援を行っている。昨今の物流現場で急速に進む自動化・ロボティクス化に対応できる物流DXの専門知識を持った人材も多数在籍しており、現場の即戦力から将来の幹部候補まで一元的にアプローチできる点も大きなメリットである」
▲WEWORLDキャリアEXPO会場の様子(出所:WEWORLD)
人手不足を乗り越え、持続可能な運行体制を築くために
2024年問題を契機とするドライバー不足は、一過性のものではなく、日本の人口動態がもたらす構造的な不可逆の潮流だ。日本人ドライバーの採用が激化し、採用単価が高騰を続ける中、外国人材の受け入れ体制を早期に構築できた企業こそが、中長期的な競争優位性を確立することができる。
10月開催の「WEWORLDキャリアEXPO」への出展枠は、教室数に限りがあるため最大28社限定となっている。1次締め切りは9月15日、最終締め切りは10月8日だが、枠が埋まり次第終了となる。人手不足に先手を打ち、持続可能な運行体制の構築を目指す物流企業にとって、同イベントは確かな一歩を踏み出せる絶好の契機となるはずだ。
■ 開催日程:2026年10月15日(木)・16日(金)
■ 1日目 :合同企業説明会(1社1教室専有型)
■ 2日目 :スクリーニング選抜型 採用面接会(※希望企業のみ)
■ 会場 :ISIキャリアアカデミー高田馬場校(東京都新宿区高田馬場4-23-32)
■ 出展規模 :最大28社限定(物流、メーカー、IT、ホテル、介護など)
■ 来場予定 :1000人(高度外国人材・特定技能人材/ISI日本語学校、大学、専門学校を中心とした外国人求職者)
■ 申込締切 :10月8日(※満席になり次第受付終了)
■ 問い合わせ・資料請求:WEWORLD 人材事業部(GLOBAL REACH)