▲IoTセンサーを同梱して出荷される綾町産の有機農産物
調査・データ電通国際情報サービス(東京都港区)のオープンイノベーションラボは、「有機農産物の生産から最終消費まで」のサプライチェーン全体にわたるトレーサビリティをブロックチェーン技術で保証し、関心が高まっている「エシカル(倫理的)消費」を促していくことにつなげられるかどうかを確かめる実証実験を19日から開始する。
実証実験はラボが取り組む研究プロジェクトの一環として、宮崎県綾町、シビラ、パナソニックの参画を得て行う。また東京・神保町のイタリアンレストラン「レアルタ」が実験用エシカルメニューの提供、UPRが輸送用IoTセンサーの提供でそれぞれ協力する。
同社イノベーションラボは、有機農業発祥の町として知られる宮崎県綾町と連携し、同町で生産される有機農産物の安全性や品質の高さをブロックチェーン技術で保証し、消費者にアピールする仕組みの構築に取り組んでおり、17年3月にはこの仕組みで管理された農産物を都内で販売し、購入客からのフィードバックを含めた知見を蓄積してきた。
綾町は生産者、管理者(役場の検査官)が、町独自で定める自然生態系の保護評価指標に基づいて、生産履歴や土壌品質検査の結果をブロックチェーンに記録。出荷用ダンボールごとに照度、加速度、温度を検知できるIoTセンサーを同梱して出荷し、輸送中に箱が開閉されていないか、適切な温度・場所で保管されていたか、過度な衝撃が加わっていないかなどがモニタリングするとともに、その都度ブロックチェーンに自動的に記録する。
レストランでは、綾町野菜を用いた実験用エシカルメニューを提供。来店客が店内でストレスなくエシカルメニューを認知・選択できるよう、専用UXデザインによるメニューを用意するほか、スマートフォンに差し込むだけで綾町野菜の動画を閲覧できる機器(バッテリーレス型イヤホンジャックドングル)を提供する。
エシカルメニューの注文客だけに別途渡されるドングルをスマートフォンに差し込むと、SNSアカウントと連携可能な「消費履歴」がブロックチェーンに記録され、「注文客をインフルエンサーとする能動的な情報拡散が行われたか」「そこにどのような共感や評価が集まり、フォロワーの行動が誘発されたか」という履歴がブロックチェーン上に蓄積され、生産者やレストランへフィードバックする。