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名古屋で物流現場のデジタル化と運賃制度の課題議論

イベントLOGISTICS TODAYは29日、企業支援事業などを展開するワンロジ(東京都新宿区)との共催で、「運びと地位向上全国キャラバンin名古屋」を開催した。物流業界が直面する2024年問題以降の諸課題や制度改正、現場のデジタル化・DXを巡り、地域の実務者と率直な意見を交わす全国キャラバンの第12回目となる。愛知県名古屋市の会場から、オンライン配信で第1部・第2部にわたって熱を帯びた議論が展開された。

▲ワンロジ社長の吉岡泰一郎氏

第1部のセッションでは「どうなる、トラック運賃制度」をテーマに、野々市運輸機工(石川県金沢市)社長の吉田章氏、mirai計画(愛知県みよし市)代表の柳川佑平氏、シグマクシス マネージングディレクターの池田祐一郎氏が登壇。モデレーターはLOGISTICS TODAYの赤澤裕介社長兼編集長とワンロジ社長の吉岡泰一郎氏が務めた。

▲LOGISTICS TODAYの赤澤裕介社長兼編集長

議論の焦点となったのは、12月に取りまとめ期限を控えるトラック運賃の「適正原価制度」の動向。従来の標準的運賃とは異なり、原価割れ取引に実効性のある規制を設ける狙いがある一方、算定基準や原価の対象項目、運用ルールはいまだ定まっていない。さらに直近では荷主企業側から段階的な導入や経過措置を求める声が強まるなど、制度設計をめぐる不透明感が現場に影を落としている。

▲野々市運輸機工社長の吉田章氏

吉田氏は、多重下請け構造下で価格交渉が進みにくい小規模事業者の実情を指摘し、インフラ維持のための制度的支援の必要性を認めつつも、「今のまま不完全な形で突き進めば、法令を順守する正直者が馬鹿を見る制度になりかねない」と拙速な制度化への強い懸念を示した。

▲mirai計画代表の柳川佑平氏

一方、柳川氏は、一律の運賃引き上げによって「運送会社側が経営努力を怠る風潮が生じる懸念」に言及。不当に低い運賃を排除する最低ラインの担保は不可欠としつつも、自社で実践する空車時間の削減や複数荷主を組み合わせた効率運行など、運送会社側の創意工夫や提案力が正当に評価される自由度を残すべきだと訴えた。

▲シグマクシス マネージングディレクターの池田祐一郎氏

コンサルタントの経験から多様な物流事情に広範な知見を持つ池田氏は、「適正原価がそのまま適正な運賃と一致するのか」という構造的論点を提示。荷主企業側でCLO(物流統括管理者)の選任が進み、現場の課題に直接目を向ける動きが広がっている点に触れながらも、制度の具体化を見守る荷主側の姿勢と運賃改定がサプライチェーン全体に与える影響を慎重に見極める必要性を指摘した。

第2部では「中小から大手まで物流現場はもっとデジタル化できる」と題し、尾張陸運(愛知県尾張市)社長の伊藤光彦氏、物流向け製品、サービスを扱う総合商社のフジテックス(東京都中野区)物流事業部部長の高柳直人氏、AI・物流ベンチャーのNexgen Japan(ネクスジェンジャパン、横浜市西区)CEO・物流AIアーキテクトの大野有生氏が登壇した。単なるバックオフィスの省力化にとどまらず、人手不足の現場において生産性を飛躍的に高める「人とテクノロジーの協働」について活発な意見交換が行われた。

▲尾張陸運社長の伊藤光彦氏

自社センターで20台以上のAMR(自律走行搬送ロボット)を運用する伊藤氏は、労働投入を増やすだけでは限界がある中、既存のピッキングカートとロボットを併用し、現場主導で運用を磨き上げてきた経験を紹介。「ベンダーの提案を鵜呑みにせず、現場の知見と組み合わせて自社に適合させることが成果につながる」と語った。

▲フジテックス物流事業部部長の高柳直人氏

高柳氏は、中堅・中小や製造業からの省人化機器に対する相談がここ2年で急増している現状を報告。「既存の巨大な仕組みを変えにくい大手に比べ、未導入領域の多い中堅・中小企業こそが機動的に現場改革を推進できるチャンスがある」と指摘した。

大野氏は、生成AIの台頭によりデータ表記ゆれの自動補正や請求書画像の高精度読み取りが可能となり、DXの初期ハードルが劇的に下がったと解説。また、「物流業界は相変わらずFAXを使い続けていて非効率だからと、一時期はFAXや紙をデジタルに置き換えることこそデジタル化なのだと思われていた時期があったが、AI-OCRによる文字認識で、旧来の紙ベースであってもデジタルと繋がれる時代が来ている」と語った。さらに、現場の業務を熟知する人間が課題を言語化し、デジタルツインやAIを用いて現場の「暗黙知」を「形式知」へ昇華させる重要性を訴えた。

▲Nexgen JapanCEOの大野有生氏

伊藤氏はセッションの総括として、日本各地の物流現場に蓄積された卓越したオペレーション力(暗黙知)を形式知化し、他社へも展開することで業界全体が連携する未来像に期待を寄せた。

クロージングでは登壇者全員が再登壇し、業界を取り巻く逆風を乗り越え、変革をチャンスに変えていく決意を共有した。

次回の「運びと地位向上全国キャラバン」は12月9日、静岡県静岡市での開催。

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