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ヤマト運輸「東日本の心臓部」郡山に完成

2026年10月16日 (金)

拠点・施設プロロジスが福島県郡山市で開発を進めていたヤマト運輸の専用物流施設「プロロジスパーク郡山1」が完成し、16日に竣工式が開かれた。ヤマト運輸は同施設を、全国規模で進める「統合型ビジネスソリューション拠点」の一環として展開。ヤマトグループにおける東北エリア最大規模の拠点として、11月から順次稼働を開始する。

竣工式には、プロロジスの山田御酒会長兼CEOや郡山市の椎根健雄市長のほか、ヤマトグループからヤマトホールディングスの櫻井敏之社長、ヤマト運輸の阿波誠一社長らが参列し、新拠点の完成を祝った。

▲ヤマトホールディングスの櫻井敏之社長

櫻井社長は式典の挨拶で、物流業界がドライバー不足や燃料高騰、地方部における人口減少など「三重苦」とも呼ばれる厳しい環境に直面する中、物流を「経済の血液」と表現。「お預かりした荷物を最後まで確実に丁寧にお届けしていく使命がある」と語った。その上で、新拠点を「我々にとってまさに『東日本の心臓部』」と位置づけ、「単に荷物を運ぶだけでなく、地元・地域社会の皆様と地域経済の発展に貢献していきたい」と決意を示した。

拠点稼働の陣頭指揮を執るヤマト運輸の青澤勇・郡山プロジェクト長は、式典後の取材で統合型拠点の強みを解説した。2階のロジスティクス(営業倉庫)区画を11月中に先行稼働させ、1階の宅配便ターミナルを27年2月に本格稼働させる計画だ。

▲ヤマト運輸の青澤勇・郡山プロジェクト長

青澤氏は「2階で仕分け・梱包をしたものを、そのまま1階へ下ろして発送できる。リードタイムを大幅に短縮するだけでなく、出荷締切時間を他の拠点より延長できるのがこの施設の特徴だ」とロジスティクス区画の強みを説明する。

荷主は在庫を同施設に配置することで、緊急性の高いパーツ配送や修理サポートを含め、全国の顧客へスピーディーに対応することが可能になる。1階と2階を繋ぐ搬送設備には、フォークリフトがそのまま乗り込める大型エレベーターや、パレットを連続して高速搬送する垂直搬送機を整備しており、将来の荷物増加を見据えた拡張スペースもあらかじめ確保している。また、倉庫内の照明には人感センサーを搭載して省エネルギー化を徹底したほか、2階の南北両面に計41台分のトラックバースを設け、45フィートトレーラーが直接アプローチできるスロープも設けた。これにより、通過型(TC)と在庫型(DC)のどちらのニーズにも対応する。

新施設の1階には、東北最大級の仕分け・配送ターミナルが広がる。中央に配置されるベルトコンベアラインは、1時間あたり合計1万4000個の荷物を処理し、既存拠点の能力を大きく上回るという。また、作業環境の改善にも配慮し、大型シーリングファンとエアコンによる全館空調システムを導入。トラックバースの高速シャッターにはヤマト運輸の要望で半透明仕様を採用し、自然光を取り入れつつ、接近するトラックの影を視認しやすくすることで安全性と作業効率を高めている。

コールドチェーン(低温物流)の基幹拠点としての役割も極めて重要だ。1階にはマイナス25度の冷凍庫や、7度に維持される低温仕分け室を完備した。青澤氏は「福島県内の集配だけでなく、北海道や東北から関東などに向けて発送される『クール宅急便』の中継ポイントとしても使う。東北は山形のサクランボや宮城の海産物など需要が多いため、この低温設備を活用して取り扱いを拡大したい」と展望を語る。EC(電子商取引)事業者への提案に加え、一次産業の顧客に対してもロジスティクス機能と宅急便を組み合わせた最適な物流網を構築する考えだ。

▲手前が7度の冷蔵区画、奥がマイナス25度の冷凍庫と蓄冷設備

広域ネットワークを支える立地の優位性も際立つ。東北自動車道「郡山中央スマートインターチェンジ」に隣接し、磐越自動車道へのアクセスも容易。さらに、7キロ離れた「JR貨物郡山貨物ターミナル」とも連携し、急ぎの荷物はトラック、リードタイムに余裕のある荷物は鉄道コンテナを活用するマルチモーダル(多面輸送)体制も強化する。

プロロジスやフクダ・アンド・パートナーズなど複数の企業と自治体が参画する物流拠点集積パーク「福島郡山LLタウン」内に位置することから、災害時の事業継続計画(BCP)対応も強固だ。施設内には非常用発電機を備え、万が一の停電時にも72時間は電力を維持できる。青澤氏は「有事でも『止めない物流』を実現し、早期復旧を支援できるのがこの拠点の強みだ」と強調。スロープ部分には冬場の路面凍結を防ぐ融雪用のロードヒーターを敷設したほか、有事の際には指定避難所や支援物資の集積場所として機能し、地域の安心・安全に寄与する。

エントランスの意匠には、郡山市中田町海老根地区に350年前から伝わる伝統工芸品「海老根伝統手すき和紙」を採用し、地域文化との融合を図った。職人の手作業による温かみのある空間が来訪者を迎える。

次世代の物流オペレーションを公開するため、11月11日と12日の2日間、ヤマト運輸とプロロジス共催による同施設の「竣工お披露目会」が開催される。施設内覧のほか、物流現場の省人化対策として期待される自動フォークリフトの実機デモンストレーションも行われる予定だ。(編集局・鶴岡昇平)

プロロジス、郡山のヤマト専用物流施設が完成

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