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処分逃れ許さず、荷主・元請け責任の追及も厳しく

トラック運送業、人手不足背景に規制強化

2018年12月12日 (水)

話題人手不足を背景に、トラックドライバーの長時間労働や物流の停滞が懸念される中、改正貨物自動車運送事業法が成立した。処分を受けても別会社で事業を継続するなどの「行政処分逃れ」を予防する措置や、トラック事業者が法令を遵守する上で「参考」とすべき「標準運賃」を導入するなど、トラック運送事業を取り巻く法制度が人手不足によって大きく転換することとなった。

適正な事業運営を確保するため、これまでも「ルール違反」を取り締まる行政処分制度の強化が行われてきたが、今回の法改正では、「処分を受けても廃業して別会社で事業を継続」するケースなどの「処分逃れ」を防ぐ目的で、「処分逃れのため自主廃業を行った者」「(親会社などの)密接関係者が許可の取消処分を受けた者」の参入を制限。欠格期間を従来の2年から5年へと延長した。

また、運送事業を許可する際の基準についても、車両整備や点検の確実な実施による安全性の確保、十分な広さの車庫など事業を継続して遂行するための計画、資金など事業を継続遂行するための経済的基礎といった「適切な計画・能力」があるかどうかを要件として明確化。荷待ち時間や追加的な付帯業務の見える化を図って「対価を伴わない役務の発生」を予防する措置として、約款の認可基準に「運賃と料金を分別して収受すること」を盛り込んだ。

さらに、過労運転や過積載運行といった行為をなくすためには、荷主や元請事業者の理解や協力が欠かせないとして、元請事業者を含む荷主に「配慮義務」を新設。従来からある「荷主勧告制度」の対象に貨物軽自動車運送事業者を追加し、荷主勧告を発動した際には荷主名を公表することを明記。

これらに加え、2023年度までの時限措置として、荷主が「トラック事業者の違反の原因になるおそれのある行為」を行っている疑いがある場合、国土交通大臣が「関係行政機関の長と当該に主の情報を共有」したり「関係行政機関と協力して荷主の理解を得るための働きかけ」を行ったりできる規定を新設し、要請しても改善されない場合は国土交通大臣が関係行政機関と協力して「勧告+公表」できるようにした。

同じく時限措置として導入されるのが「標準的な運賃の告示制度」で、トラック事業者が法令を遵守する際の「参考となる運賃」として、国土交通大臣が標準的な運賃を定めて告示できる制度を導入することになった。