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CBcloud、PickGoに入札制度導入で適正運賃促進へ

2021年11月29日 (月)

サービス・商品CBcloud(CBクラウド、東京都千代田区)は29日、運送会社が配送マッチングプラットフォーム「PickGo」(ピックゴー)で、配送条件などに応じて個別に配送料金を提示して案件にエントリーする「入札制度」の運用を開始したと発表した。

働き方改革関連法により2024年4月1日以降、「自動車運転の業務」に対する年間の時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生する「物流の2024年問題」により、ドライバーの時間外労働が抑制されることで所得にも影響が出ると予想される。運送会社は、輸送効率を高めて収益性を向上させるために、貨物なしで復路を走行する空車率の削減を図っているものの、得られる輸送案件情報には限りがあること、多重下請けに伴う適正運賃での案件が得にくいことなどから、空車率の改善は容易ではないのが実情だ。

ピックゴーは、運送業界の多重下請けや運び手の労働環境の改善など業界が抱える構造的課題の解決を目指すべく、16年6月にフリーランスの軽貨物ドライバーを対象にサービスを開始。20年2月には一般貨物自動車運送事業者のマッチングサービスの提供も始め、運送会社へ適正運賃の案件を提示することで空車率改善と収益性の向上に寄与してきた。このたび、一般貨物のマッチングで入札制度を導入することで、さらに案件の受注がしやすい環境を整備する。

ピックゴーではこれまで、CBクラウドが運送の内容や距離などに応じて決定した運賃で荷主と運送会社をマッチングしていた。今回導入する入札制度は、CBクラウドが提示した最低入札価格をベースに、運送会社がそれぞれ自社で実施する際の運賃を提示。これにより、例えば繁忙期であれば「運賃をあげて入札する」「少し安価にして復路の荷物を確保する」など各社の状況に応じた運賃提示が可能になる。今後は、各運送会社の得意とする分野や実績など価格以外の訴求も可能にし、より良いマッチング環境を目指す。

(出所:CBcloud)

CBcloudは、一般貨物自動車運送の市場の是正を通して、引き続き運送会社支援を推進するとともに、今後もピックゴーマッチングプラットフォームの活用拡大を通して、最適な物流環境の整備を支援していく。

マッチングサービスの構造的課題に踏み込んだ新サービス

CBクラウドがこのたび導入を決めた、一般貨物マッチングにおける入札制度の狙いは何か。より良いマッチング環境の創出によるピックゴービジネスの拡大を図るのが目的だろう。しかし、さらに根源的な効果があるのではないだろうか。それはマッチングサービスの「信頼性」向上だ。

(イメージ)

貨物を望みどおりに運んでほしい荷主と、帰り荷など積載率向上を図りたい運送会社との意向を組み合わせることで、新たなビジネス機会を生み出すマッチングサービス。相互に利益をもたらす便利なサービスなのだが、課題は相互の信頼感が必ずしも醸成されないことによるトラブルだ。その最たるものが運賃設定だが、それ以外にも事前の約束事がうまく共有されず仕様の異なる車両が配置されたりスケジュールがずれ込んだりと、細大含めたもめごとも少なくないようだ。

その意味で、CBクラウドが始めたピックゴーの入札制度は、こうしたトラブルをほぼ解消することができるシステムと言えるだろう。荷主と運送会社が互いに不信感を生じないよう事前に入札で態度を明確化することで、適正な運賃でビジネスを進めることができる。

マッチングサービス業界を主導するCBクラウドならではの顧客サービスの側面もあり、実に的確で強かな戦略と言えるだろう。何よりも、マッチングサービスの業界が抱える構造的な課題に踏み込んだ点を評価したいところだ。(編集部・清水直樹)