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カトーレック、大西物流のグループ化で価値創出

2022年11月8日 (火)

(イメージ)

M&Aカトーレック(東京都江東区)は8日、大西物流(愛媛県四国中央市)の株式の66.8%を取得してグループ化したと発表した。カトーレックはグループの企業価値を高めるとともに、物流サービスのさらなる高度化を推進する。

カトーレックは、全国に50か所以上の物流拠点と700台の自社車両、29か所の物流センターや倉庫などを連携させたロジスティクスのネットワークを構築。近畿と中国、四国地方では食品や化粧品などの共同配送網も構築するなど、顧客の輸送品質に対応した物流サービスを展開する。さらに、海外拠点も含めた国際一貫物流サービスも提供している。

大西物流は260台の車両を保有するとともに、四国と関東、関西に3か所の物流拠点を展開。輸送をはじめ共同配送や倉庫保管、流通加工など多様な物流サービスを提供する。

カトーレックは、こうした大西物流の強みを既存の経営資源と組み合わせて相乗効果を創出することで物流サービスのさらなる拡充を図り、業界における差別化を打ち出して市場での競争に勝ち抜く戦略だ。

地方発の物流基盤強化の動き、都市部における将来の問題解決のヒントになる可能性も

高松市で創業したカトーレックが、同じく四国を地盤とする大西物流を傘下に置くことになった。カトーレックは今も高松市を「高松本社」として重要拠点と位置付けると同時に、全国ネットワークを張り巡らせて広域展開を推進する。とはいえ、やはりルーツである四国における存在感は非常に高い。今回の大西物流のグループ化も、こうした思惑を反映した動きであると考えるべきだろう。

四国中央市は、その名のとおり四国4県の中央部に位置する。1990年代以降に急速に整備が進んだ四国の高速道路網は、この四国中央市にある川之江ジャンクション(JCT)と川之江東JCTを軸に、4県都へつながる4本の高速道路が「X」の形で分岐する。四国における物流ビジネスを語る上で、四国中央市のポテンシャルは欠かすことのできない観点だ。

(イメージ)

この四国中央市を本拠地に物流事業を展開する大西物流は、四国の物流業界でも先進的な取り組みで知られる存在だ。なかでも共同配送ビジネスについては、四国や対岸の中国をはじめとする全国ネットワークを整備。製造業を主体に四国有数の産業立地が進む愛媛県東部の沿岸部を地盤にしながら持続的な事業基盤の強化を進める上で、同じ四国を重点エリアとするカトーレックは将来的なビジネスパートナーとして魅力的に映ったとしても不思議はない。

大都市圏ではないこうしたエリアで物流事業者同士が手を組む事例は、少子高齢化がさらに加速する将来における物流サービスのあるべき姿を考える上で、重要な示唆を提供する。なぜなら遠くない将来に首都圏を含む大都市圏でも現実に起きうる問題を先取りしていると言えるからだ。

今後、物流業界では事業者の枠組みを巡る2つの動きが顕在化するとされている。ひとつは事業継続の断念、もうひとつが事業者間の合併やグループ化だ。背景には事業継承者の不在や資金繰りの悪化などが挙げられるが、共通するのは現場従事者が確実に減少していくことだ。

現場における人材不足は、生き残りをかけた事業基盤の強化策に冷や水を浴びせることになりかねない。まずは地方からこうしたグループ化の事例が広がれば、物流業界が直面するであろう問題への対応策を広く共有できる契機になるのではないか。カトーレックによる大西物流のグループ化で生まれる効果を追跡していきたい。(編集部・清水直樹)

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