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「よく選ぶ副業」で倉庫が人気、1位は仕分け・検品

2023年2月6日 (月)

調査・データスキマバイトサービス「タイミー」を提供するタイミー(東京都豊島区)が6日、2月9日の「副業の日」を前に実施した副業に関する実態調査を発表した。それによると、「よく選ぶ仕事」(複数選択可)として最も選ばれたのは、物流倉庫内(仕分け・検品)で全体の52.3%だった。同じ物流倉庫内では、「ピッキング・梱包」が46.3%と第2位、「荷上げ・荷下ろし」が24.6%と第4位となり、物流関連の庫内業務が上位を占める結果となった。

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調査は1月にインターネット上で実施され、副業目的で同サービスを利用する本業が会社員などの10〜60代の2888人が対象。タイミーを利用する理由に関して尋ねたところ、「好きな時間・場所で働ける」が87.4%で最多。さらに、副業する目的としては「生活費の足し」(69.1%)と「趣味・娯楽」(33.8%)が上位に挙げられた。仕事内容の選択肢は全体で13あり、第3位が飲食店(調理補助・洗い場業務)で32.1%、第5位が飲食店(接客・ホール業務)で21.4%など。

一方で、1か月当たりの副業による収入の中央値は2万円台、1週間のうち副業に充てている時間の中央値は5〜10時間程度で、本業が休みの日に働くスタイルが主流であることも判明した。人手確保に苦慮する物流業界だが、こうした実態を把握した上で、業務内容や働き方、報酬のバランスを取ることが副業人材を獲得するポイントになりそうだ。

今回の調査によると、昨今の物価高を背景に、副業(タイミー以外を含む)を始めたのが2022年という人は49.7%と過半数近くに達した。

副業の日の由来は、数字の2(ふ)と9(く)。「副」、「複」、「福」の3文字から、「副業」を通してスキルを磨いた個人が、パラレルな「複業」を実現させ、さらには個人が社会で「幸福」に働くことができる文化を生み出すのが目的(日本記念日協会ホームページより)。

副業など就業スタイルの多様化、現場に求められる「受け入れる度量」

物流現場が抱える構造的な問題である人手不足。それを解決する有効な方策となり得る選択肢なのが「副業」だ。正社員やパート・アルバイトといった従来の雇用の枠組みに加えて、本業とは別に時間を有効活用する副業という概念の広がりが、社会インフラとしての物流の直面する危機的な状況を緩和する可能性もある。

倉庫をはじめとする物流現場における、こうした副業スタッフも含めた流動的で機動的な人材活用を成功させるには、事業者と就業者の双方の利害を一致させる必要がある。事業者側には、現場業務の繁閑に応じて就業者数を適正化できる利点がある。一方で、就業者にも「少しでも生活費の足しにできる収入を確保したい」「隙間の時間を有効に活用したい」との意向を満足させる求人があれば、生活に活気をもたらす好機にもなるだろう。

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倉庫における荷物の仕分けや検品、ピッキングといった作業は、特殊な免許や技能が必須な仕事ではないことから、女性や高齢者も多く業務に就いている。とはいえ、新型コロナウイルス禍も契機としたEC(電子商取引)の普及拡大による宅配需要の急増は、倉庫業務の既存の概念を一気に変えようとしている。

それは取扱量の増加だけではない。これまでは宅配サービスの対象ではなかった商材が、どんどんインターネットで注文されるようになっている。生鮮食品や薬などはその好例だろう。倉庫現場は荷姿の異なるさまざまな種類の荷物を取り扱う、従来と比べても極めて繁忙な現場になっているのだ。

さらには、繁忙期の到来が年末や年度末など定番のものに加えて、突発的な荷物の取り扱いが増えるなど、人員計画の策定が極めて難しい実情もある。もはや、従来の雇用体系では吸収できない業務形態になっているのだ。

こうした状況に直面する倉庫現場の人材確保策として期待できるのが、就業形態の多様化だ。副業スタイルもまさにその産物であり、倉庫現場はそれに対応しやすい条件を備えていると言えるだろう。むしろ、倉庫現場にこそ、こうした新しい就業スタイルを積極的に受け入れるだけの度量が求められる。

こうした就業形態に適した効率的な教育システムの導入など、受け入れる側にも意識改革が欠かせない。それが当たり前になって初めて、副業をはじめとする人材の流動的な活用が実現するのだ。(編集部・清水直樹)

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