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日本のビジネスリスク1位はSC途絶、エーオン調査

2024年1月30日 (火)

調査・データ米の世界的保健関連企業エーオンは25日、「グローバルリスクマネジメント調査2023」における日本の調査結果を発表した。この調査は2年に1度、61の国と地域のリスク管理者、経営幹部や人事部門の責任者3000名からの情報を集約し、経営課題として明らかにしたもので、今年で17年目を迎える。

今回の調査で注目されるのは、21年調査における日本企業の回答結果では第10位だった「サプライチェーンや流通の途絶」が、そのランクを一気に押し上げ、今や日本企業の認識するトップリスクと認識されていること。これは近年の半導体不足による製品生産の滞りが大きく影響したと考えられる。日本企業のサプライチェーンに対して大きな影響を及ぼす地政学的緊張の高まり、また24年4月からトラックドライバーの時間外労働時間の上限が制限されることに起因する24年問題の影響もうかがえる。

続いて2位にランクインしたのは前回調査で1位だった「市場動向の急激な変化」。前回に引き続き上位リスクとして認識されているのは、上述の政治情勢の複雑化、人工知能などを活用した技術革新とそれにともなうデジタル規制等を日本企業が予測不可能なリスクとして捉えていることが要因であると考えられる。

2021年の調査で第5位だった「サイバー攻撃/情報漏えい」は、日本企業が認識するリスクの第3位に上昇、グローバルではトップリスクとして認識されている。サイバー脅威の状況に対する認識が徐々に高まっているという世界的な傾向が見てとれると同時に、1位にランクされたサプライチェーンや4位にランクされた事業中断とも密接に関係することから、今後日本企業にとってさらなる対応を迫られるリスクとなると予想される。

この調査ではさらに、日本では人的資本の問題がもはや単なる「人の問題」ではなく、終身雇用が実質的に無くなりつつある現代において、人材獲得競争や高度専門人材の確保、労働人口の減少、持続的な賃上げの要請などを背景とした重要なビジネスリスクであることが明らかになったとする。

23年の「優秀な人材の流出や確保不能 」は、グローバルでは4位、日本企業の回答結果で5位となっている。前回調査時はグローバルと日本ともにトップ10入りしておらず、ここ数年の経営層による人的資本経営に向けた意識や取り組みの変化が表れている。経済のボーダレス化やデジタルトランスフォーメーション、従業員体験向上やリスキリングへの取り組み、さらにはインフレにともなう賃金上昇や、優秀な人材をいかに採用・確保するかは企業にとって避けることのできない問題として認識されていることがわかる。また、専門人材の高齢化もランクインの一因になっていると考えられ、人材への積極的な投資を通じ、優秀な人材を採用、確保していくことが不可欠とし、終身雇用制度や年功序列制度から、優秀な人材を処遇できるようなメリハリのある人事、報酬、評価制度へ見直しや、人材確保の観点から多様化するライフスタイルに対応した福利厚生制度、ウェルビーイング施策も検討していく必要があると分析している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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