調査・データ米市場調査会社のリポートオーシャンは30日、シンガポールの低温物流市場部門は今後10年間で年平均成長率(CAGR)6.67%の高い成長を見せるとの予測を発表した。日本との経済的結びつきの強化も期待できる。
低温物流には、特定の温度条件の維持が必要な食品や医薬品、ワクチンなどの専門的な輸送、保管、監視などが含まれる。同社によると、冷凍・冷蔵技術の進歩や消費者の嗜好の進化、食品の安全性と医薬品の完全性の重視の高まりに後押しされ、市場は大きく拡大している。中でもシンガポールの成長は際立っており、2023年には42億7000万ドルだった市場規模が、32年には73億ドルにまで拡大。CAGRも6.67%に達する。
急成長の背景について同社は、「シンガポールはコールドチェーン物流にとって地理的に理想的なハブであり、世界の東部と西部を結ぶ世界貿易ルートの要所としての役割を果たしている」と指摘。さらに、自動保管・検索システムやリアルタイム監視のためのIoT対応センサー、高度な輸送管理システムなど、最先端の技術や最先端のインフラの導入のほか、食品安全や医薬品保管に関する厳しい規制基準やガイドラインで優位性はさらに高まっているとした。これによって、シンガポールでは、日本を含むアジア全域で模範となるモデルが形成されている。
こうしたシンガポールに対し、日本企業は倉庫管理やロジスティクス業務に不可欠なロボット工学や人工知能などの分野で、重要なサプライヤーとしての役割が期待されている。このため、コールドチェーン市場の拡大にともない、シンガポールと日本の経済的結びつきも強化され、日本からの輸出量も、シンガポール向けだけでなく同国を経由した東南アジア市場向けで増加することが期待できる。日本にとっては、貿易ポートフォリオの多様化につながり、欧米市場への依存度も低下させられる。
また、太陽光発電や電気輸送車両の導入で、環境に優しいロジスティクス事業を推進するシンガポールは、日本の持続可能性目標にも合致し、両国の協力関係が強まる可能性もある。
こうしたことから同社は、シンガポールのコールドチェーン物流市場の成長は、日本企業にも数多くの参入機会を与えることになり、積極的に参加することで市場の拡大に貢献するだけでなく、その恩恵も得られるとしている。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com