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日本郵便、値上げと割引の線引きが映す需要観

2026年10月20日 (火)

ロジスティクス日本郵便は10月9日に国際郵便の料金改定を発表した。27年2月1日から適用する。EMSも小包も通常郵便物も上がる値上げ一色の内容だが、越境EC(電子商取引)向けの割引新設を告げる短い一節が加わった。値上げだけが並ぶ商品と、手当てが付く商品がある。その差に、同社の需要の見立てが表れていないか。(編集委員・刈屋大輔)

全面値上げの中身

EMSはすべての地帯と重量帯で値上がりし、6キロまでの刻みは小包と同じ1キロごとにそろう。米国宛で1キロまでを比べると、5300円が7400円になり4割高い。500グラム以下は区分が1キロに統合され、3900円から9割の上昇となる(現行料金には特別追加料金が含まれる)。小包は航空、SAL、船便の三扱いとも上がり、同時差出割引は50個以上の割引率が20%から13%に下がる。通常郵便物は、書状やはがき、印刷物から小形包装物のエアパケットまで広く上がる。日本郵便は、原油高や円安、物価高で国際輸送費と海外での配達費が膨らみ、社内の努力だけでは賄いきれないと説明した。

縮む商品と伸びる商品

差が出るのは、上げ幅と手当てである。米国宛の1キロまでで見ると、小包の航空扱いは4200円から6660円へ6割、EMSは4割、国際エアパケットは3090円から4020円で3割の上昇だ。

量はこの順序と重なる。日本郵便の引受物数によると、25年度のEMSは642万通で前年度比8.9%減、国際小包は11.1%減だった。EMSは24年度にも7%減で、営業収益は413億円から392億円に、25年度はさらに42億円減った。25年度は米国宛の一部引受停止(25年8月-26年4月)の影響を含むが、停止前の同年度第1四半期(4-6月)もEMSは8%減、国際小包は10%減だった。国内でも25年度の郵便物は117億5103万通で6.5%減と縮む一方、ゆうパケットは5億6255万個で4.7%増、ゆうパックも1.3%増だった。

手当ての付き方も同じだ。縮むEMSと小包には値上げだけが入る。一方、国際特定記録には27年度中に割引を設ける予定で、発表ではその理由として、越境ECの広がりで安く追跡できる小口便の需要が強まっていることを挙げた。エアパケットは追跡番号が付き郵便受けに届く小形包装物で、今年6月に運休中を除く全地域へ対象が広がった。同社の担当者は、EMSや小包に比べて低料金で追跡でき、利用の伸びが著しいと説明している。割引の水準は未定だ。

郵便とは別枠の国際宅配便UGXでも、越境EC向けの選択肢を相次いで広げている。3月に米国・カナダで個人宛て、置き配、関税元払いの配送サービスを始め、8月には欧州へ拡大した。さらに10月30日からは「UGX越境EC配送サービス」の配送先を欧州やアジアへ広げ、法人間輸送などを想定した「UGXプライム」も対象国・地域を拡大する。割引運賃は利用見込みの個数をもとに荷主ごとに見積もる。国内ではゆうパケットが5月10日から、東京や大阪など一部の地域間で翌々日の配達を翌日に早めた。

残る矛盾と焦点

もっとも、縮む商品は値上げのみ、伸びる商品は手当て付き、という整理の仕方に合わない動きが国内にある。伸びているゆうパックの基本運賃は10月1日に平均10%上がった。ゆうパケットは、厚さ1センチ、2センチ、3センチで分かれていた運賃を360円に一本化し、最も薄い1センチ以内は250円から44%、2センチ以内も310円から16%高くなる。3センチ枠は据え置きで、負担は薄い荷物に寄る。成長商品でも値上げは見送られていない。一方でゆうパックには、郵便局アプリのスマホ割で利用者に還元するキャンペーンを予定している。

値上げの理由は、国際も国内も物価や人件費、輸送費の上昇というコスト増である。市場の拡大や需要に触れるのは、割引や速度向上の理由を述べる場面だけだ。値上げと手当てで理屈を使い分けている点に、同社の需要観の一端が出ているとみられる。

ただ、エアパケットを含む国際通常郵便は25年度に3.9%減で、エアパケット単独の引受数は公表されていない。伸びの根拠は、同社の説明に頼る部分が大きい。選別があるとしても、同社が公言したものではなく、料金と手当ての組み合わせから読み取った仮説の域を出ない。

そう考えると、見るべきは値上げの有無ではなく、値上げに何を添えたかである。EMSと小包には今回の発表で添えられたものがなく、エアパケット、ゆうパケット、ゆうパックには割引や速度向上、還元策が付く。値上げで個数が減りやすいのは一般的な傾向で、すでに縮んでいるEMSは値上げ後にさらに減る懸念がある。日本郵便が手当てを置くのは、減らしたくない商品に限られるのではないか。

別の見方もある。越境ECの大口荷主と見積りで取引を始め、その縁を国内荷物に広げる狙いだ。ただ、国内値上げの8日後に国際値上げを発表した点とは噛み合いにくい。

国際特定記録の割引水準に加え、10月30日から拡大するUGXの利用動向が明らかになれば、判断材料はさらに増える。EMSで送られてきた軽量荷物がどの商品に流れるかで、同社の読みの当否が見えてくる。

日本郵便、国際郵便値上げへ越境EC支援も強化

日本郵便、越境EC向けUGXの配送先拡大

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