ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日本の製造業、競合先販売力評価で中韓系低下傾向

2014年12月2日 (火)

荷主国際協力銀行(JBIC)はこのほどまとめた製造業の海外展開動向によると、日本の製造業の海外展開は拡大姿勢が継続し、中期的な有望国ではインド、インドネシア、中国の得票率が拮抗、競合先企業の販売力評価で中国系・韓国系企業が低下傾向にあることが分かった。また、日本企業の海外拠点の機能強化は「緩やかに進む」との見通しを示した。

日本企業の海外生産比率、海外売上高比率はそれぞれ4割の水準に近づき、海外事業の比重が高まっているが、回答企業の8割が海外事業の強化・拡大を継続する姿勢にあり、このうち9割の国内事業が現状維持か拡大の姿勢。回答企業全体でみると、国内事業の強化・拡大姿勢は回答企業の3割未満で横ばい、現状程度を維持する姿勢が6割を占めた。

中期的な有望国では、前回調査に続き、上位有望国の順位が変動。市場拡大への期待が高いインドが調査開始以来はじめて1位となった。前回1位のインドネシアが2位、同4位の中国が3位となったが、上位3か国の得票率は45%前後で拮抗する結果となった。一方、タイは前回調査から得票数が大きく低下し、3位から4位に順位を落とした。

前回調査の中期的有望国上位5か国(インド、インドネシア、中国、タイ、ベトナム)について、今回調査の中期的有望国として挙げなかった理由を調査したところ、中国、タイは「既に一定規模の事業を行っている」ことを理由として中期的有望国に挙げない企業が多くみられた。

日本企業による競合先企業の販売力評価に関しては、12年度調査との比較で欧米系企業に対する評価が上昇。一方、中国系企業、韓国系企業に対する評価は低下傾向にあり、JBICでは「両国企業との競争に関する日本企業の自信が回復してきていると考えられる」と分析した。

また、アジア各国・地域内では中国とASEANを中心に現地生産・納入が拡大する見通し。アジア域内の生産分業体制は、中国、ASEANを中心とした分業が進むとの見通しが示されたものの、業種によって回答に差異がみられた。

生産拠点に求められる役割分担は、海外拠点の機能強化の姿勢が見られる一方、日本国内の拠点は、イノベーション、人材育成の面で継続的に重要な役割を担っていくとの見方が多かった。また、研究開発は基礎、応用、開発すべての段階で日本国内の拠点が中核的な役割を担っていくとの結果を示した。