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AEBS衝突回避わずか2社、富士運輸が実証実験

2020年9月23日 (水)

話題富士運輸(奈良市)は19日、同社奈良支店の第2駐車場で、国産トラックメーカー4社と海外メーカー2車種を対象に、すべてのトラックに搭載が義務付けられている衝突被害軽減ブレーキ(AEBS=アドバンストエマージェンシーブレーキングシステム)が「有効に機能するか」を確かめる実証実験を実施した。

■衝突前に停止できたのはわずか2社のみ…

実験は車種ごとに時速20、30キロでドライバーがブレーキペダルを踏まないように留意して行われたが、20キロで障害物に接触しなかったのは日野、三菱ふそうの2社のみにとどまり、いすゞ、UDトラックス、スカニア(スウェーデン)、ボルボ(同)の4社は20キロ、30キロのいずれも接触前に停車できなかった。

実験開始前、国内メーカーの担当者は「あくまでも衝突回避を『支援』する機能」(奈良日野自動車)、「被害軽減を目的としているため、条件によってはさまざまなことが起こり得る」(三菱ふそうトラック・バス)などと、実験の目的がAEBSの本来の目的である「被害軽減」ではなく「衝突前に停止するかどうか」とならないよう訴えた。

また、「(今回の実験で使用された)段ボールで作られた障害物の場合、自動車と認識しない可能性がある。本物のクルマであれば、時速80キロでも止まる実力がある」(UDトラックス)と、障害物がAEBSの認可要件となる「セダンの量産乗用車」ではなくトラックを模した段ボールであることを懸念する声も聞かれた。

実験はこうしたAEBSの正確な目的を理解した上で、いすゞの大型トラック「ギガ」、スカニアのトラクターヘッド、日野の大型トラック「プロフィアハイブリッド」、同社トラクターヘッド、「レンジャー」(4トン)、三菱ふそうの大型トラック「スーパーグレート」、同社トラクターヘッド、「ファイター」(4トン)、ボルボFH、UDトラックスの大型トラック「クオン」――の順に、時速20キロと30キロで実施。

20キロの実験ではいすゞ、スカニアが障害物に衝突した後、日野の3車種と三菱ふそうの1車種は衝突直前に停止、ふそうのトラクターヘッド、ボルボ、UDトラックスは、障害物を押し出す形となり、衝突を回避できなかった。30キロもいすゞ、スカニア、ボルボ、UDトラックスは停止できず、日野はすべて直前で停止。ふそうは大型トラックとトラクターヘッドが衝突回避となったものの、4トントラックがクリアできなかった。

■松岡氏「目的は衝突被害軽減だが、理解・期待と異なっていないか」

AEBSはドライバーの安全運転を支援する目的で搭載が義務化されている機能で、システムが衝突の可能性を検知した際に、まずは警報でドライバーにブレーキを促し、ドライバーが警報に気づかなかい場合は「自動ブレーキ」が作動して「衝突を回避または衝突の程度を軽減する目的で、車両を減速させる」(AEBS認可に関する統一規定)装置として規定されており、「いかなる場合も衝突を回避」するものではない。

しかし、実際には運送会社の経営者や運行管理者、ベテランドライバーでも「衝突を回避・防止する機能」として捉えているケースが少なからずある。実証実験の結果を受け、富士運輸の松岡弘晃社長は「どのメーカーのトラックが安全なのかを理解できた」と本音を漏らすとともに、「認可のベースとなる協定規則でターゲットが厳密に指定されていることは理解しているが、運送会社は安全を最優先課題として取り組んでいる。低速でも先行車に衝突してしまうとすれば、AEBSに対する一般的な期待と異なるのではないか」と話し、作動する要件が利用者の感覚とかけ離れたものになっている可能性を指摘した。

■実証実験の様子