ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

T2自動運転トラック試乗会レポート

突然のカットインも冷静対処、段階的減速で安全確保

2025年8月21日 (木)

調査・データT2(東京都千代田区)は21日、報道関係者向けの自動運転トラック試乗会を開催した。試乗会は日本自動車研究所(JARI)が運営する城里テストセンター(茨城県城里町)で実施した。レベル2自動運転による実証走行を報道各社が体験した。

▲いよいよ、自動運転トラックの助手席に乗り込む

いよいよ、会場内の外周路で試乗開始。外の気温は優に35度を超える酷暑のなか、ほうほうの体で高さ1メートルほどのステップに右足をかけ、助手席ドア口に備えた乗車用グリップを両手で持つ、いわゆる三点支持でゆっくりと助手席に上がり、シートに身を沈めた。エンジンが静かに始動し、ドライバーがハンドルを握って試乗車両がゆっくりと動き出した。城里テストセンターの外周路は全長3キロ。アスファルトの路面状況は良好だ。助手席から見える景色は一般的な高速道路とは異なり、周囲を緑に囲まれた専用のテストコースならではの開放感がある。

車両は時速70キロ程度で安定した走行を続けている。振動は最小限に抑えられ、大型トラックとは思えないほど滑らかな乗り心地だ。ドライバーは慎重にハンドル操作し、各種センサーの動作状況を確認している。「それでは自動運転モードに切り替えます」。ドライバーがそう告げると、自身の両手をハンドルからゆっくりと離した。車両は自らの判断で走行が継続する。ハンドルが鋭敏に動き、車両が自動的に車線中央を維持している様子が確認できる。

▲ドライバーがハンドルから手を離し、自動運転がスタート

LiDARセンサーが周囲の状況を常時監視し、カメラが前方の道路状況を捉えている。車内はブーンという静かなエンジン音がかすかに聞こえる程度の静寂に包まれている。自動運転システムが作動している間も、車両の挙動に不安定さは感じられない。速度は一定に保たれ、車線からの逸脱もない。

自動運転開始から5分が経過した時点で、車両が自律的に車線変更を開始した。まず左側のウインカーが点滅し、続いて車両が緩やかに左車線へと移動する。この一連の動作は人間のドライバーと同様に、十分な安全確認時間を確保してのものだった。

車線変更中も車両の姿勢は安定しており、急激な操舵や加減速は一切ない。センサーが後続車両との距離を正確に測定し、安全なタイミングで車線変更を完了させた。変更後は新しい車線の中央を正確に走行し、再び直進状態に戻る。この技術により、高速道路での追い越しや合流が無人状態で可能になることを実感できた。

車線変更から5分後、前方に現れたデモ車両が試乗車両の前に割り込んできた。これは事前に計画されたシナリオで、自動運転システムの緊急回避能力を検証するためのものだ。カットインを検知した瞬間、車両は自動的にブレーキを作動させ、適切な車間距離を確保するため減速を開始した。減速は段階的で急ブレーキによる不快感はない。車両は安全な車間距離を維持しながら、デモ車両に追従する形で走行を継続した。この一連の動作により、自動運転システムが予期しない状況にも適切に対応できることが確認できた。

10分間の試乗を終え、車両は出発地点に戻ってきた。自動運転モードから手動運転に切り替わり、ドライバーが再びハンドルを握って最終的な駐車操作をする。エンジンが停止し、試乗は無事に完了した。

同日、T2はレベル4自動運転トラックによる幹線輸送を見据えて、三菱地所と物流施設内での「建物内走行」を実現させるための国内初の実証を7月から開始したと発表し、シームレスな輸送や省人化をさらに現実へと引き寄せた。夢物語ではない、自動運転の高度自動化レベル4の後ろ姿がはっきりと見えてきた。

T2、国内初の自動運転トラック建物内走行を実証

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com

LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。