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横浜港本牧ふ頭、最大規模のコンテナ船を受け入れ

2021年12月7日 (火)

ロジスティクス仏海運大手のCMA CGMのコンテナ船が3日、横浜港本牧ふ頭D4コンテナターミナルに初入港した。コンテナ船は1万4000TEU型と、本牧ふ頭に入港するものとしては過去最大規模。横浜市などは、大型コンテナ船の受け入れを通じ、横浜港のコンテナ輸送力を高め、国際競争力に弾みをつけたい考え。

「APL Esplanate」(エーピーエル エスプラネイド)と名付けられたこのコンテナ船は、全長370メートル、船幅51メートル、15万1015総トンのシンガポール船籍。CMA CGMが運航する中南米航路「ACSA1」(アクサワン)に投入されている。

この日は初入港を記念した歓迎式典も開かれ、関東地方整備局や横浜市港湾局、横浜川崎国際港湾などの関係者が集まり、CMA CGAの日本法人社長に入港記念の盾や記念品を手渡した。

近年、世界のコンテナ船の大型化や取扱量の急増、船社間アライアンスの再編などで海運会社による寄港地の絞り込みが進んでいる。こうした状況に対応するため、横浜市などは横浜港の再編整備を進めてきた。

今回の受け入れに先立ち、先月18日には1万3000TEU型規模の別の大型コンテナ船を受け入れた。また、年明けにも同規模の大型船を受け入れるなど、入港予定が続く。

▲(前列右から)国土交通省浅輪港湾局長、CMA CGM JAPAN内田社長、横浜市中野港湾局長、ポートガイド、(後列右から)横浜港埠頭伊東社長、関東地方整備局石橋副局長、住友倉庫宗常務執行役員、横浜川崎国際港湾人見社長、横浜港運協会藤木会長(出所:横浜市)

横浜港では、岸壁の長さが400メートルのD4ターミナルで今回のコンテナ船を含めた受け入れを可能にするため、別のコンテナ船と受け入れ時間が重ならないように調整するなど工夫をした。

市港湾局によると、横浜港はことし5月、世界銀行などにより、世界のコンテナ湾岸のなかで最も効率性が高い港に選ばれた。市は「これからも港湾運営会社などと一体となって大型船を受け入れることによって、効率化やサービス向上をはかりながら、国際的な競争力を強化していきたい」と話している。

物流競争力向上へ、京浜港の運営体制にも目を向けよ

国際物流の輸送力を考えれば、横浜港に仏CMA CGMの巨大コンテナ船が入港したのは歓迎すべきことだ。日本の主要コンテナ港として横浜港の存在感が小さくなることはなく、国際コンテナ戦略港湾政策の中核的な物流インフラでもある同港の機能向上は今後も続くだろう。

同港本牧ふ頭が巨大コンテナ船の接岸に対応したのは、日本の産業競争力強化に必要だという考えに基づく。ならば、なかなか進まない「京浜港としての一体運営」から目を背けることなく、効率的な首都圏港湾の運営体制を目指すべきではないか。

巨大コンテナ船の寄港は歓迎だが、単なるお祭り騒ぎに終始するのでなく、新の物流競争力強化に向け、改めて東京港、横浜港、川崎港の京浜3港による一体的な港湾運営を考える機会としてほしい。(編集部・赤澤裕介)