
話題7月3日、都心の躍動感と共鳴する新たな物流拠点「プロロジスアーバン東京錦糸町1」が誕生した。首都高速7号小松川線「錦糸町」出入口からわずか400メートル、JR総武線「錦糸町駅」と都営新宿線・東京メトロ半蔵門線「住吉駅」の2駅が徒歩圏に収まる、まさに街の動脈が交差する要所に立地する。オフィス街と商業エリアが併存するこの地で、倉庫の域を超え、入居事業者のアイデアや挑戦を自在に試行、発展できる“ビジネスのラボラトリー”としての新たな機能にも期待が集まる。
佐志田倉庫が持つ老朽化倉庫を刷新
JR錦糸町駅南口の喧騒を離れること5分、マンションや低層住宅が居並ぶ住宅街の合間に颯爽とプロロジスアーバン東京錦糸町1が現れる。

▲プロロジスアーバン東京錦糸町1
今回の開発は、プロロジスと錦糸町で半世紀以上倉庫運営を担ってきた佐志田倉庫(東京都千代田区)の共同事業だ。佐志田倉庫が持つ老朽化していた倉庫をプロロジスが刷新、都市型物流ブランドとして展開する「プロロジスアーバンシリーズ」の第7弾として再生した。同社が長年培った都市創造の“知見と巧み”を十分に活用、城東地区の中心である錦糸町の独自性、メリットを最大限に生かし、都市のポテンシャルを引き出している。
プロロジスアーバンシリーズは単なる物流施設にとどまらない。都心オフィス並みの利便性と物流施設ならではの機能性を融合した設計が特徴だ。各施設はECフルフィルメント拠点、ラストワンマイル配送拠点、緊急配送サービス基点、開発ラボやショールーム、スタジオなど、複数の用途に活用できる。EC市場の拡大により「当日配送」や「日時指定配送」が標準となる今、消費地・顧客に近い配送拠点の確保はサービス向上に直結する。同社は現在、東京23区内の品川、足立、大田、押上、辰巳でプロロジスアーバンシリーズを展開している。各拠点は医薬品などの温度管理が可能であったり、オフィスビル並みのセキュリテイ設備、24時間365日稼働への対応体制も整備。プロトタイプ開発、ショールーム、配送拠点、音響・映像スタジオなど新たな都市型ビジネス拠点の創出に貢献している。

▲実際にオフィスとして利用している例

▲キッティング拠点としての利用も
「受け継いできた物流のDNAを次の世代に残したい」
「東京錦糸町1は今までのアーバンシリーズの中で最も理想的な立地だ。都心アクセスの利便性と物流機能の両立を実現している。配送効率の最適化、施設で働く従業員の通勤や日常生活の快適さを鑑みても、抜群に使いやすい施設になっている」とプロロジスの山田御酒会長兼CEOは胸を張る。

▲プロロジスの山田御酒会長兼CEO
さらに「都市型物流施設の新たなモデルケースとして、業界全体に新しい風を吹き込むことになるだろう」と期待を寄せた。
また、共同事業者の佐志田倉庫の佐志田雄太社長も「創業100年という重要な節目の年に、長年支えていただいた地元の皆様に還元できる施設を建設できたことは非常に感慨深いものがある。先代から受け継いできた物流のDNAを、現代のニーズに合わせた新しい形で次の世代に残していきたい」と熱い思いを口にした。両者が語る言葉からは単なる不動産開発を超えた、地域の未来を見据えたビジョンが伝わってくる。

▲佐志田倉庫の佐志田雄太社長
荷重や電気、水道など一般ビルでは実現不可能な要望にも応える
他のアーバンシリーズ同様、「プロロジスアーバン東京錦糸町1」はラストワンマイル配送と多目的利用を両立できる点が特徴だ。1階には4トン車両まで出入り可能な専用区画、10トントラックにも対応した着車場や共用荷捌きスペースを設けた。都心では希少な大型車両対応のハードとセキュリティ性を兼備した。
2〜5階は1フロア1社の専用設計で天井高3メートル、床荷重1トン/m2を確保し、空調設備や大容量電力も利用可能だ。重機器設置や試作研究、アトリエ、ショールーム、メンテナンスベースなど、倉庫+αのさまざまなニーズに応じられる構造になっている。さらに、南側には大きな窓を配し、隣接する猿江恩賜公園の緑が間近に臨める。陽光が降り注ぐ4階バルコニーとともに、職場の窓一枚越しに豊かな自然の移ろいを映し出す。

▲1階の共同荷捌き場

▲空調付きの倉庫区画
こうした都心部での開発について、プロロジスバイスプレジデント兼開発部長の栗原祥之氏は「最近は製造業や研究拠点からの問い合わせが多い。研究員や技術者の採用難に対しても、駅近という立地で克服しようとする傾向もある。床荷重や電気、水道など、一般オフィスビルでは実現できない要望に応えられるのが強み」と説明する。実際、既に国際宅配事業会社のスコア・ジャパンや設備機器メーカーの入居が決まっており、都心立地、物流拠点、多用途型という独自性のある提案力が浸透しつつある。さらに、栗原氏は都市型物流施設の本質を問い直す。「都市にただ箱を置いただけでは、街の血流は生まれない。現場の声と地域の個性に根ざした知恵を注がなければ、拠点は本物の価値を持てないはずだ」(栗原氏)

▲プロロジス バイスプレジデント兼開発部長の栗原祥之氏
現場ごとの最適解を重視する設計思想を貫く
「働き手の快適性を重視するオフィスビルと、自由度の高く、堅牢なスペックを重視する物流施設を、ちょうどいい塩梅で融合させた。“都心でこんな施設ができるとは”という驚きの声をよくいただく」と話すのは開発部ディレクターの矢田貝真奈氏だ。「もともと倉庫などに使われていた建物が持つ特徴を、制約でなく“価値”に変える必要がある。単なる物の保管場所ではなく、モノづくりの拠点や、ラボ、スタジオなど、新用途を生み出すことが、他の物流施設と違う面白さだ」(矢田貝氏)
実際、一般的なオフィスビルでは到底実現できない用途や導線にも柔軟に応じる。ラストワンマイル配送拠点からショールーム、研究用途、撮影スタジオ、テストキッチンと幅広いビジネスニーズに対応できる空間となっている。
「アーバンシリーズは文字通りシリーズではあるが、同じものは二つとない。最大の特徴は標準化よりも現場ごとの最適解を重視する設計思想だ。一棟ごとに地域の背景も、カスタマーのニーズもまったく違う。統一仕様を量産して意味はないと気づいた」と同氏は続ける。

▲プロロジス 開発部ディレクターの矢田貝真奈氏
狭く深く刺さる価値が、長期間にわたり根強い需要を生む
栗原氏、矢田貝氏は、「単なる空間提供を超えて地域社会と共に息づく拠点でなければ意味がない」と語口をそろえる。アーバンシリーズでは、目先の契約条件に惑わされず、近隣と調和し続けることを最優先に据える。たとえ有利な条件でも、騒音や臭気などで周囲の暮らしを脅かすであろう事業者は選ばない。「まちの景色の一部となり、地域に根付く。それが今後の都市型物流施設の基本的な在り方になるでしょう」と矢田貝氏は提言する。
さらに矢田貝氏は、アーバンシリーズについて「こだわりを持つ企業には圧倒的な支持を得ている」と語る。実際に「この立地や機能を10年、20年もの間ずっと探し続けていた。ようやく真にフィットする拠点に出会えた」という入居企業も珍しくない。狭く深く刺さるその価値こそが、長期間にわたり根強い需要を生み出している、と矢田貝氏は強調する。
課題解決への意欲と専門性を武器に、都市と業界の発展に貢献
アーバンシリーズの今後について、栗原氏は「世田谷など、さらにオフィスエリアに隣接した都市型物流施設にも挑戦したい。老朽化した倉庫を地域企業と共同で再生し、都市の新たなインフラに変える試みを広げていく」と意気込みを語る。一方、矢田貝氏は「統一仕様を追う効率化だけでは都市課題は解決しない。顧客課題を解決したいという気持ちと専門性を武器に、都市と業界の持続可能な発展に貢献したい」と力を込める。
都市型物流施設のオーダーメイド化と地域に寄り添う運営が両立すれば、都市の利便性とコミュニティの多様な要求を同時に満たす新たな拠点が生まれる。プロロジスアーバンシリーズは、単に荷物の置き場所ではなく、地域の暮らしや都市活動そのものを支える新しいインフラの役割を果たそうとしている。今後、この取り組みが都市部の持続的な発展や物流・不動産業界の進化を推進する原動力となることは間違いない。
「プロロジスアーバン東京錦糸町1」では、2・4・5階区画の入居企業を募集中。7月17日・18日には内覧会が開催される。
7月17日(木)、18日(金)※各日3回開催
プロロジスアーバン東京錦糸町1(東京都江東区)
<物件概要>
敷地面積:2248平方メートル
延床面積:6470平方メートル
構造:地上5階建て
完成:2025年7月
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