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物流スタートアップ・ベンチャー特集/第14回

EVで挑む「新インフラ」構築/フォロフライ小間CEO

2023年1月24日 (火)

話題LOGISTICS TODAYのスタートアップ・ベンチャー企業を応援する企画「物流スタートアップ・ベンチャー特集」。第14回は、フォロフライ(京都市左京区)の小間裕康CEO(最高経営責任者)です。

「一流のヘンタイ」。突き抜けたプロフェッショナルへのリスペクトを込めて、私は彼らをこう呼んでいます。そして、こうした”ぶっ飛んだ人間”が、好きなことを好きなメンバーと好きなだけ取り組める空間である。私はこう定義しています。

とはいえ、スタートアップがこれだけの自由度を確保できるようになったのは、ここ数年のことのように感じています。私が最初に起業した2010年ごろは、まだ資金調達や人材確保に苦心することが少なくないのが実情で、社会の信頼も決して高くありませんでした。

それから10年あまり。スタートアップと大手企業グループと連携して新規ビジネスの創出に取り組む動きが活発になってきました。いよいよスタートアップを担うヘンタイが「本領」を発揮できるようになってきた、そう実感しています。

社会がスタートアップを求める時代。それを象徴する領域の一つが、物流です。社会に不可欠なインフラである物流を取り巻く環境は、大きな変革期を迎えています。フォロフライが取り組むEV(電気自動車)ビジネスは、ラストワンマイルをはじめとした物流における環境対応を支援することで、新たな価値を提供できる取り組みであると考えています。

私が21年8月にフォロフライの設立を機に実現させたいこと、それは環境対応形社会の実現に向けたEVビジネスを基盤とするインフラの構築です。それには、大きく3つのステップで進める必要があると認識しています。

まずは、EVそのものを普及させることです。フォロフライは、EVを既存のガソリン車と同じ水準の価格設定と安全性を追求することで、環境対応と経済性の両立を目指しています。環境対応性能がいくら高くても、購入しやすい価格でなければ市場は広がらないからです。

とはいえ、航続距離など特有の問題もあることから、一気にEVがガソリン車を置き換えることは現実的に難しいでしょう。むしろ、輸送現場などでの運用面でこうした問題は解決されていくのだと考えます。まずは1台から活用してもらい、問題点や改良点を抽出していきます。こうしたプロセスを経て複数台による本格的な導入に向けた一歩を踏み出してもらう、これが第2ステップです。

こうして相当数のEVが稼働する状況になると、次に取り組むべきなのは充電設備やフリートマネジメントといった基盤システムの整備、つまりインフラの構築です。EVを活用するにあたり、こうしたインフラが整っていない限りは、本格的な普及は実現しないでしょう。

EVビジネスはこの段階で、ハードウェアからITサービス、さらにテクノロジーへとその姿を変えるのです。こうした基盤整備が一定の水準をクリアした時点で、一気にインフラ事業としての「オセロゲーム」が始まります。これが3つ目のステップであり、フォロフライが23年に到達したいステージもまさにここなのです。

「速い」「安い」「うまい」。こうした環境対応型社会に欠かせないインフラ構築に向けて、フォロフライが掲げるEVのコンセプトです。機能と経済性の高さ、さらに円滑な運用。これらが融合して初めて、社会が求めるEVを軸としたインフラが整うのではないでしょうか。それを担うのは、大企業など幅広い事業者とパートナーシップを築ける自由度の高いヘンタイなのです。(編集部・清水直樹)

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