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CBRE、米関税施策による物流施設への影響「限定的」

2025年4月25日 (金)

調査・データCBREは25日、トランプ政権による相互関税の日本不動産市場への影響に関する調査結果を発表した。首都圏の大型物流施設やオフィスビルにおける製造業関連のテナント比率は2割未満であり、短期的な影響は限定的になるとの見方を示した。

調査によると、日本の対米輸出額21兆3000億円のうち4分の3を占める機械類、輸送用機器関連のテナントの入居比率は、首都圏の大型マルチテナント型物流施設で17%、東京のグレードAオフィスで16%と比較的低い水準となっている。自動車関連企業では物流施設が4〜6割程度を占める一方、オフィスでは全体の6%にとどまっている。仮に自動車関連テナントの10%が解約したとしても、空室率の上昇は物流施設で1ポイント、オフィスで0.6ポイント程度と試算した。ただし、中部圏の物流施設は製造業への依存度が相対的に高く、地域による影響の差異に注意が必要だと指摘している。

▲2024年度の日本の対米輸出額の内訳(クリックで拡大、出所:CBRE)

CBREは、大型物流施設とグレードの高いオフィスビルの多くが定期借家契約を採用しており、「2024年問題」による効率化ニーズなどの構造的な需要も存在するため、既存テナントの大量解約は想定しにくいと分析した。物流施設では「食品」が18%、「EC」が26%を占め、オフィスビルでは「IT」が22%、「金融」が17%と、消費財や非製造業の割合が高いことが特徴だ。全国のハイストリート出店面積における高額品を扱うリテーラーの割合も10%程度にとどまった。グレードの高いビルへの入居を「コスト」ではなく人材確保のための「投資」として捉える企業が多く、解約増加を抑制する要因と分析している。

CBREは今後について、業種を問わずテナントが様子見姿勢を取る可能性を指摘している。世界経済への影響が長期化した場合、設備投資意欲の減退やインバウンド消費の低迷により、幅広い業種への影響が懸念されると分析している。また、日本のメーカーの多くは自社所有の物件に入居するため、賃貸オフィスでの占有率は比較的低いことも特徴的とした。特に自動車関連企業が生産拠点の見直しを進めた場合、国内のサプライチェーン全体に影響が波及し、オフィスや物流施設の需要が構造的に変化する可能性があると指摘している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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