拠点・施設コクヨは13日、仙台市泉区に新設した物流拠点「東北IDC(Integrated Distribution Center)」の開所式を開催した。コクヨの物流ネットワークにおいて東北・北海道エリアを担い、コクヨグループでEC(電子商取引)サービスを提供するカウネット(東京都港区)の購買プラットフォーム戦略を支える中核拠点となる。GTP(Goods to Person)システムなど最新の自動化設備を投入。庫内生産性の向上だけでなく、働きやすい物流現場づくりや地域社会との交流まで含めた「次世代物流拠点」のモデルを目指す。

▲「東北IDC」外観(出所:コクヨ)
4階建ての同施設でコクヨは2、3階の7000坪を使用する。東北・北海道エリアで配送リードタイムを短縮するとともに、在庫商品の品ぞろえを拡充し、供給体制を強化する狙いがある。最大27万SKUを扱う計画で、立地選定では海抜や地盤などBCP面も重視した。
開所式には施設開発の関係者のほか、仙台市藤本章副市長らが列席。あいさつしたコクヨ社長の黒田英邦氏は、文具・事務用品、オフィスサプライを扱うビジネスサプライ事業が国内で1000億円規模まで成長するなか、EC化や顧客ニーズ、取り扱い商品の変化に対応するには、従来の延長線上ではない物流の工夫が必要だと説明。東北IDCについて、これまでに開設した全国4か所のIDCでもこれまで取り組んでこなかった物流の仕組みに挑戦する拠点と位置づけた。
特に強調したのが、設備投資そのものを目的としない姿勢だ。「単に仕組みに投資したということではなく、こういうことにチャレンジしたいと考えてくれる社員に投資ができた」と述べ、東北IDCで得た知見を将来的に国内だけでなくグローバルの物流にも展開していく考えを示した。

▲黒田英邦氏(出所:コクヨ)
また、執行役員ビジネスサプライ事業本部長でカウネット社長兼CLOの宮澤典友氏は「サプライビジネスにとって物流は心臓部だ」と表現した。注文が増える局面では能力を最大限発揮し、一方で物量が落ち着く局面では稼働を抑えながら設備を整える。需要変動に応じて物流センターそのものが柔軟に動くことの重要性を強調した。東北IDCは、カウネットのCLOとして宮澤氏が推進する物流改革の一環でもあり、品ぞろえを拡充して配送効率を高めながら、東北・北海道エリアの物流ネットワークを再構築する役割を担う。
自動化の中核となるのが、日立製作所の統合型マテハン制御システムと搬送計画最適化エンジン、自動搬送ロボットなどを組み合わせたシステムだ。

▲「HaiPick Climb」
保管の高密度化と生産性向上においては、ハイ・ロボティクスの「HaiPick Climb」を国内で初めて本格導入した。 210台のロボットが保管棚から商品を取り出して作業者の手元まで運ぶGTP方式を採用し、天井高を生かした高密度保管により通路を減らし、限られた庫内空間を有効活用する。
さらに自動ロボットソーター「t-Sort」50台も投入、合計260台のロボットで自動化・作業効率化を支援するとともに、作業者の安全を確保する。高密度保管によって容積効率を従来比1.4倍とし、生産性についても国内の既存IDC比で1.4倍に高めると説明した。従来なら同規模施設で140人程度を要する作業を100人で運用することを想定する。また、各ロボットは1台が停止しても他の機体が機能を代替できるため、「稼働を止めない、安定して流通を継続させる」ことも、大規模なロボット導入に踏み切った理由の1つであると説明した。
開所式では実際の搬送ロボットも公開され、式典用のデモンストレーションとして複数のAGV(無人搬送車)が隊列を組み、「KOKUYO」の文字を描く演出も披露した。

▲「tーSort」
もう一つの特長が、物流施設で働く環境そのものを見直したことだ。
大型高効率空調によって庫内の温度環境を整えるほか、低騒音型マテハンを採用し、一般的なオフィスに近い静穏な作業空間を目指した。休憩スペースなどにも、オフィス家具・空間づくりを手掛けてきたコクヨのノウハウを取り入れている。
さらに、地域住民や教育機関などが利用できる「多目的交流エリア」を設けた。仙台市とも連携し、職場体験や探究学習の場として活用する検討も進めている。物流施設を商品を保管・出荷するだけの閉じた場所ではなく、地域に物流の仕事を知ってもらう接点へと広げる考えだ。
施設内の見学動線ルートも整備しており、地域社会や学校、産学連携を通じて施設を広く開放し、「物流に対するイメージを良くしてもらったり、将来こういう職に就いていただく方を増やしたい」と説明した。
東北IDCでは9月1日から商品の入荷と在庫関連業務を開始しており、現在は品揃えを拡張している段階。本格的な出荷開始は11月30日を予定しており、同施設を次世代の物流を支える「ロールモデル」と位置づけて他拠点の自動化へと広げていくことも見据える。

(出所:コクヨ)
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