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日商、重要物資供給網の中小支援強化を要望

2026年10月16日 (金)

行政・団体日本商工会議所は16日、中堅・中小企業への成長投資支援を通じて国内サプライチェーンの強靱化を求める「経済安全保障政策に関する意見」を公表した。15日に国際ビジネス環境整備専門委員会の柿木真澄委員長らが、小野田紀美内閣府特命担当大臣(経済安全保障)に手交した。地政学リスクや各国の保護主義的な政策が強まるなか、重要物資の供給網を実質的に支える中堅・中小企業への直接支援や、調達先の分散、戦略在庫の確保などを政府に求めた。

日商は、現在の経済安全保障関連の支援策では完成品メーカーを中心としたものが多く、ティア2、ティア3以下を含む中堅・中小企業への設備投資や研究開発支援が限られていると指摘した。半導体や造船などでは、鋳造、溶接、部品加工といった工程を担う企業が供給網の維持に欠かせないとして、代替が難しい企業を直接支援する制度の創設を要望した。

調達面では、重要鉱物や原材料について特定国への依存を減らし、新たな取引先の開拓や調達先の複線化、国内での戦略在庫確保を支援するよう求めた。調達先の切り替えで部品や原材料の仕入れ価格が上昇した場合には、取引先への円滑な価格転嫁を進める必要があるとした。経済安全保障の観点から、重要技術を持つ中小企業の事業承継時に技術流出リスクを把握する仕組みも挙げた。

(出所:日本商工会議所)

日商の調査では、中堅・中小企業の50.4%が今後5年程度で工場などの新設・拡充を計画または検討しており、想定投資額が10億円を超える企業は34.8%だった。需要増への対応や既存拠点の老朽化対策に加え、新たな産業分野への進出を投資目的に挙げる企業もみられ、成長投資と供給網強化を一体で支える必要性を訴えた。

経済安全保障対策では、サイバーセキュリティーへの支援拡充も求めた。中小企業がランサムウェア攻撃を受けた場合、取引先を含む生産・物流網全体へ影響が波及する可能性があるとして、設備導入への補助や専門家支援、対策費用の適切な価格転嫁を提言した。AIや今後普及が見込まれるフィジカルAIについても、データ利用条件を十分に確認しないまま導入することで技術や営業情報が流出するリスクがあるとし、国によるチェックリストやガイドライン整備を要望した。

安全保障に関連する産業への中堅・中小企業の新規参入も後押しするよう求めた。民生・防衛の双方で活用できるデュアルユース技術を対象に、研究開発や試作段階から設備投資を支援するとともに、原材料費や人件費の上昇を反映した適正な取引価格の確保、中長期的な発注見通しの提示などを求めている。

海外展開では、知的財産の侵害対策や人権デュー・ディリジェンスへの支援を盛り込んだ。加えて、EPA・FTAなどを活用し、特定国への依存を抑えながら同盟国・有志国との調達網を多角化する必要性を指摘。原産地証明などの手続きを中小企業が利用しやすくするため、相談や伴走支援の拡充を求めた。

日商は、重要物資の安定供給を完成品メーカーだけで確保することは難しく、供給網の裾野を担う企業まで含めた投資、調達、サイバー対策、海外展開を一体的に支援する必要があるとしている。今後、政府や政党に意見書を提出し、制度への反映を働きかける。

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