ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

青森県「商業利用進展で津軽海峡が重要に」

3か月で貨物船28隻確認、北極海航路の利用動向

2015年7月21日 (火)

調査・データ青森県は17日、国土技術政策総合研究所(国総研)と独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、北海道開発局とともに取り組んでいる北極海航路の共同研究で、2014年9-11月の北極海・周辺地域の航行実態をまとめたと発表した。

共同研究では、人工衛星から取得されるAIS信号の北極海航路整備への活用可能性を検証していた。

共同研究の成果としてまとめられた、14年9-11月の3か月間の動向によると、北極海ロシア側航路の航行船舶は貨物船・タンカー27隻、客船1隻、調査船4隻の合わせて32隻を把握。貨物船・タンカー27隻のうち、15隻は宗谷海峡や津軽海峡を経由してロシア北極海側と中国・韓国などとを航行する船舶だった。

北極海カナダ側航路では貨物船1隻、客船1隻、調査船3隻の5隻を把握。客船は、14年10月に小樽港に寄港した北極圏クルーズ船舶で、このほかにベーリング海に面した極東ロシアやアラスカの海域を航行する船舶20隻が確認された。

また、海氷が少ない8月中旬から10月にかけて航行が多く、砕氷船によるエスコートもないことが判明した。

県では、「今回明らかになった北極海航路の動向(データ)は、将来同航路の商業利用が進展した場合、津軽海峡が重要なエリアとなり得ることを示唆している」とみて、共同研究の枠組みに参加しながら、津軽海峡の可能性を検討していくための基礎資料として活用していく考え。

三村申吾知事は「共同研究は、『北東アジアでのグローバル物流拠点化』を視野に入れた青森県ロジスティクス戦略の一環として、北極海航路という新たな視点で津軽海峡の現状を把握し、将来の可能性を検討していこうとするもの」と研究の重要性を強調。

研究成果に対しても「北極海航路の動向は、グローバル物流での津軽海峡の可能性を検討していくための重要な基礎資料となる。今回、北極海航路を利用する貨物船やタンカーの日本への寄港例は確認できていないが、今後のデータ蓄積や分析を進めることで、日本での津軽海峡エリアの重要性が浮き彫りになると考えている」とのコメントを寄せた。