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アスクル、関西新拠点で物流生産性改善

2018年7月4日 (水)

財務・人事アスクルが4日発表した前5月期決算は、代替物流拠点の運用に伴う一時的な固定費の増加で物流領域の生産性が悪化したものの、BtoC事業の伸びを中心とした増収効果で、営業利益は1.2%増の41億9200万円を確保した。

代替センターによる固定費増加分が20億円、一時的な物流生産性の悪化による減益が分が32億円に達したほか、関西で立ち上げた物流拠点「AVC関西」の開設関連費用が利益を28億円押し下げた。

「LOHACO」専用センターとして運営している「AVC日高」(埼玉県日高市)では、昨年6月に1階部分で仮設備、同年9月に2階と3階部分に本設備、ことし1月には拡張設備を導入して出荷ピークの平準化、マテハン設備の設計値と実際の乖離(かいり)解消、スタッフの習熟度向上といった生産性の向上に取り組んだが、平均労務単価が火災で閉鎖した埼玉県三芳町の物流拠点(ALP首都圏)の水準に届かなかったことから、今期中の課題解消を図る。

関西では、同社最大の物流センターとして立ち上げたAVC関西が、立ち上げ後3か月で大阪DMCが17年5月期に達成した平均労務単価と同等の生産性を確保できた。今後はBtoB事業の繁忙期を捌き切るなど物量拡大を材料として、さらに生産性の向上につなげたい考えだ。

AVC関西は大阪府吹田市の土地7万5000平方メートルに建つ地上4階建て、延べ床面積16万5000平方メートルの物流施設のうち14万6000平方メートルを借り受けて開設した、甲子園球場4.5個分に相当する都市型物流拠点。アスクルが開設に投じた費用は149億円に上るが、高い地代に対しては高密度保管、高騰する人件費や将来の労働力不足に対しては生産性の向上と24時間稼働が可能なロボットの活用を想定している。

16年に稼働を開始したALP横浜で、従来の3倍の高さによる高密度保管や3D搬送ロボットの導入による5倍の生産性、これらを駆使した歩行ゼロの定点ピッキングを達成しており、AVC関西では、これらを10倍の規模に拡大して導入し、関東でも3年以内にアスクルロジパーク(ALP)首都圏の再稼働など、物流センターの再構築を検討する。また、構築した物流モデルの外部向け販売にも力を入れる方針。