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5省庁、飲料配送事故の法的処理方法を明確化

2019年7月26日 (金)

フード国土交通省など5省庁と飲料配送の関係者らでつくる飲料配送研究会は26日、飲料配送時の荷崩れなどが発生した際に標準貨物自動車運送約款に従うとどう処理すべきかを明確化する報告書をまとめた。

飲料は配送中に荷崩れなどが発生した場合、炭酸漏れなどの商品の状況が外観から判断しづらい面があり、商品を損なった場合の「毀損範囲」の決定や、毀損した商品の費用負担など、荷送人・荷受人と運送事業者の間でトラブルに発展するケースがあった。報告書では荷崩れなどが発生した際に「標準貨物自動車運送約款に従うとどのように処理をすべきか」、約款の適用について明確化した。

飲料配送関係者として、鴻池運輸、鈴与、日本ロジテム、日本通運、川崎陸送などの物流事業者、コカ・コーラボトラーズジャパン、サントリー食品インターナショナル、アサヒビール、キリングループロジスティクス、三菱食品、イオングローバルSCMといった荷主系企業、全日本トラック協会、全国清涼飲料連合会、ビール酒造組合などが参加した。

報告書では、包装資材(段ボール)の扱いについて「中身が毀損していなければ、包装資材に傷や汚れがあっても輸送・保管などに支障をきたす場合などを除いて、そのままの荷姿で販売することは許容されるべき」とし、「中身」が問題なく販売できる荷姿を保てるかどうかで判断するよう求めた。

また包装資材の外観などから毀損範囲を推定する場合は、「飲料メーカーで合理性のある判断基準を作成してあらかじめ運送事業者との間で共有し、それに従って毀損範囲を決定」すること、判断基準が作成・共有されていない場合は「必ず運送事業者と協議の上、毀損範囲を決定」することとした。

廃棄費用負担の基準については「毀損に伴う損害賠償の対象範囲は、実際に毀損している商品」と明確化し、包装資材の外観などから毀損範囲を推定する場合は、あらかじめ共有された判断基準に当てはめて「推定される毀損範囲」を損害賠償の対象範囲とする方法もとり得るとした。

■個々の商品の単位で毀損の有無を判断する場合

■包装資材の外観などにより毀損の範囲を推定する場合

運送事業者が「貨物の全額」を賠償した場合は、民法の規定により、運送事業者が貨物の所有権を取得するが、ブランド信用力の維持などの観点から「毀損貨物を運送事業者に引き渡さない場合」は、飲料メーカーが所有権を得てから行うことにし、(1)飲料メーカーが運送事業者から相当程度に減額された金額で買い戻す(2)そもそも運送事業者が賠償する価額を相応に減額された金額とする――ことを契約で明文化するよう求めた。廃棄処理などを飲料メーカーが行う場合は、廃棄費用は飲料メーカーが負担することになる。

このほか、「運送事業者に運送以外の役務を依頼する場合」は、追加料金として明確化する必要が生じるほか、荷送人が「より質の高い運送」を求める場合も、付加的な輸送対価として明確化する必要がある、とした。