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国際物流の目詰まり長期化、荷主の物流体制に影響

2021年4月7日 (水)

荷主新型コロナウイルスの流行に伴い、コンテナ不足や海外主要港の混雑、航空便の大幅な減便が長期化していることを受け、海外に生産拠点を展開しているメーカーの多くが有効なサプライチェーン対策を打ち出せないでいる。(赤澤裕介)

(イメージ図)

医療・介護ウェアメーカーのナガイレーベンは、インドネシアからウェア素材を輸入し、秋田県大仙市のカッティングセンターで加工している。

国内外の生産工場そのものに対する新型コロナウイルスの影響は軽微で、2020年9月から21年2月までの上半期業績も過去最高の売上・利益を記録したが、国際物流の「目詰まり」により、いかに納期に間に合わせるかが重要な経営課題として浮上してきた。

(イメージ図)

同社は従来、「インドネシア→シンガポール→韓国(釜山)→秋田」のルートで安定した物流体制を構築してきたものの、新型コロナウイルスの影響で海上輸送は世界的なコンテナ不足に陥り、釜山港も空前の混雑ぶりとなっていることから、入庫日が確定できない状態にある。

同社のような原材料を海外に依存するメーカーの場合、物流における最優先課題はもはやコスト管理ではなく「納期に間に合わせる」ことが重視され、現在はシンガポールから航空便で東京へ運び込み、東京から秋田へはトラック輸送を活用してしのいでいるという。

販売面では感染対策商品需要の高まりを受けて1割の増収を記録、国内外の生産拠点も通常通りの稼働状況を確保できているものの、物流体制については「先が見えない」状態が続く。好調な売り上げの陰に隠れがちだが、足もとの物流費(荷造り運送費)は上期平均で10%上昇した。

海外生産比率を高める経営戦略をとっていることもあり、下期はさらに物流費が膨らむ見通しだ。日本の主要港湾が釜山港の代替機能を発揮できない以上、荷主企業の我慢もしばらく続きそうだ。