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好バランスな環境・建物・立地、ESR横浜幸浦DC

2021年5月27日 (木)

拠点・施設輸出入拠点としての物流施設を考えた場合、港と物流拠点を結ぶコンテナトレーラー輸送(ドレージ)のコストを無視することはできない。輸出入に携わる企業にとって、横浜市幸浦エリアには一定のニーズがあり続ける——。

横浜市金沢区幸浦に確保した9万平方メートルの土地で、「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター(DC)」の開発に着手したESRの事業開発・リーシング部門でマネージングディレクターを務める佐々木保氏は、開発の狙いをこう語る。

第1期棟の「ESR横浜幸浦DC1」は地上4階建て・ダブルランプウェイ式、延床面積19.5万平方メートル、2022年1月末の完成を目指し建設中で、21年6月には第2期棟である「ESR横浜幸浦DC2」が23年1月の完成を目指して着工する。投資額は1・2期合わせて1000億円。

▲「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター2」の完成イメージ

横浜の物流企業が「いいエリアに目をつけたね」(佐々木氏)とうらやむというこの物流施設で特筆すべきポイントは、(1)環境性能の高さ(2)横浜港本牧ふ頭への近さ(3)1階のバースが中央車路を挟んで低床(南側)・高床(北側)の「ハイブリッド式」となっていること、が挙げられる。

完成は半年強ほど先となるが、すでに1階全フロアと2階の半分は契約済みとなっており、残る2階と3・4階の引き合いも強いという。

自然と共生し、安心できる物流施設実現へ

まずはセールスポイントの1つである環境性能について。

ESR横浜幸浦DCでは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを積極的に取り入れ、さらにLED照明、人感センサーなど環境配慮型照明の導入など、省エネルギーで持続可能な設備を計画し、CASBEE「A」認証の取得も予定している。

また、敷地内に30年ほど前に植樹された豊かな樹木と既存の池や生態を保存すべく、ランドスケープデザイナーを起用して森を再構築する。同社は自然と共存する物流施設の実現にも力を入れており、ESR横浜幸浦DCでも、いきもの共生事業推進協議会(ABINC)による認証を取得する。

▲再構築される森の完成イメージ

さらに、免震構造によって地震発生時のリスクから人命と荷物の安全性を確保でき、非常用自家発電設備により、停電時の防災センター、人用エレベーターの使用が可能という安心感もある。

前出の佐々木氏によると、同社のスチュアート・ギブソン社長が掲げる「HUMAN CENTRIC DESIGN.=働く人たちにとって快適で魅力的な環境づくり」の理念に基づいて設計されており、街づくりの観点からも、将来を見据えたグローバルな需要に対応する湾岸エリアの魅力的な施設の完成が待ち望まれる。

輸入拠点としての、湾岸立地を生かす本牧ふ頭に近接

圏央道がつながると、西へのアクセスが格段にアップ

ロケーションはどうか。

ESR横浜幸浦DCは、首都高速道路湾岸線幸浦ICから1キロと近く、横浜港、羽田空港、東京港、横浜中心部や東京都心にも40キロ内外で到達するなど、日本の物流・国際貿易・経済にとって重要なエリアを配送圏に収める。

「大黒ふ頭から本牧ふ頭へコンテナターミナルの中心が移れば、本牧と近い幸浦の利便性はさらに高くなる。25年に開通予定の圏央道横浜環状南線(戸塚IC-栄JCT-釜利谷JCT)によって圏央道が既存区間とつながることにより、東名高速道路などを経由した西へのアクセスも格段にアップする」(佐々木氏)。

周辺には小規模な工場が多く、小面積の引き合いも多い。さらに配送コストとふ頭から施設までのドレージコストを併せて考えるとコスト面の優位性が高まることから、輸入拠点としての湾岸立地を生かした、この施設の魅力と潜在的なニーズは大きい。

効率性・安全性重視のハイスペックな物流オペレーション

低・高床式のハイブリッド仕様が評判

建物は、各階にワンウェイでアクセスできるなど物流効率に優れる。荷物の積み下ろしのためのトラックバースは1階のみ低床式と高床式を組み合わせたハイブリッド仕様で、床荷重2トン、梁下有効天高6.5メートル対応というスペックの良さが高い評価を博している。海コントレーラーに対応した待機場を完備し、バースの奥行を14.5メートル確保、さらに倉庫部分はすべての階で2.5トンのフォークリフトが走行可能。免震構造も兼ね備え、使い勝手を考えたワイドスパンを実現する。

また、特別高圧電力の供給によってロボティクス、マテハン、人用空調、ハイスペックなシステム導入など多様なニーズに対応する。

施設内で働くスタッフへの配慮も高レベルだ。ESR横浜幸浦DC1の4階には、ハイセンスなデザインの休憩ラウンジ2か所と東京湾を一望できるスカイデッキを設け、ラウンジ内のショップをいつでも利用できるように、無人売店システムも導入予定。託児所を備え、子育て世代でも安心して働けるようにする。数か所のパウダールームのほか、ドライバーの休憩室やシャワー室を完備し、多目的スペースも設置するという。

■ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター1の施設概要
所在地:横浜市金沢区幸浦1-1-8
敷地面積:9万280平方メートル(2万7310坪)
延床面積:19万5270平方メートル(5万9069坪)
用途地域:工業地域
構造:地上4階建PCaPC造(プレキャスト鉄筋コンクリート)工法・プレストレストコンクリート)造、免震構造
完成時期:2022年1⽉31⽇
総投資額:1000億円(1期・2期合計)

■アクセス
車:首都高速道路湾岸線「幸浦IC」から1キロ
電車:横浜シーサイドライン「並木北駅」から700メートル(徒歩9分)