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日立物流系倉庫火災、メーカーと安定供給で調整

2021年12月2日 (木)

▲激しい勢いで黒煙が上がる

事件・事故大阪市此花区の人工島・舞洲で11月29日に発生した日立物流西日本(同区)舞洲営業所の倉庫火災は、2日正午現在も消火活動が続いている。鎮火の見通しは立っていない。

親会社の日立物流広報部によると、倉庫には荷主であるメーカーの医薬品や医療機器、食品、工具などが保管されていた。現在、メーカー各社に対し、今回の火災について謝罪の連絡をするとともに、物流機能が滞らないよう相談・調整を進めている。

広報部の担当者は「出火原因の特定を待つとともに、メーカーにまずは誠意ある対応を行っていきたい」と話している。

周辺倉庫や市内の住宅地にも煙が広がっているという情報もあり、日立物流は引き続き、情報を収集している。

未曾有の「煙」火災、荷主と物流企業の連携のあり方を考える機会にすべし

日立物流西日本舞洲営業所の火災は、医薬品物流への影響が危惧される事態になっている。11月29日の出火から丸3日が経過した2日正午の時点で、鎮火に至っていない異例の事態。日立物流は、荷主であるメーカーのサプライチェーン確保に向けた積極的な対応が求められそうだ。

今回の火災の特徴は、出火した倉庫から吹き出した大量の煙が、周辺の倉庫にも拡散した点だ。出火後の風向きの変化で、煙は離れた住宅地にも及んだという。市街地の生活環境に配慮した開発スタイルが、湾岸エリアにおける物流施設プロジェクトの主流だが、今回は想定を超える量の煙や気象条件もあって、煙害が広範囲に及んだ。

▲煙が充満し、トラックが立ち入れなくなったバース

舞洲エリアでは、出火した舞洲営業所の近隣倉庫でも稼働停止を余儀なくされるケースが出ている。煙が充満して作業のできる状態ではないからだ。にもかかわらず、荷主からの強い出荷要請を受けて、マスクを真っ黒にしながら荷出し作業に追われる倉庫もあるという。こうした有事の時ほど、荷主と物流会社の力関係が露骨に表れるものだ。

物流を途絶えさせてはならない、これは関係者の誰もが理解しているはずだ。問題は、荷主企業が物流事業者だけにそれを求めることだ。荷主企業も、他のルートによる商品納入の可能性を探るなど、できる限りの協力をする必要があるのではないか。鎮火後も物流機能の回復には時間がかかるとみられる今回の火災は、こうした荷主と物流企業の連携のあり方を考える絶好の機会でもある。(編集部・清水直樹)