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【年頭所感】Gマーク2万事業所目指す[全ト協]

2013年1月1日 (火)

ロジスティクス全日本トラック協会の星野良三会長による年頭所感は次の通り。



昨年9月には、東日本大震災時にトラックが機動力をいかんなく発揮し、大量の緊急支援物資を被災地に輸送したことにより、地域住民の生活安定に多大な貢献をしたとして、「2012年度防災功労者内閣総理大臣賞」をもらった。さらに、全ト協、全国のトラック協会の震災への取り組みが、IRU(国際道路輸送連盟)の最高位とされる「IRUグランプリ賞」に選定された。これは、我々トラック運送業界が政府、国民はもとより、IRU加盟の世界各国からも高い評価を得た証しであり、大いに誇りとすべきものだ。

11月には大規模災害を見据え、全日本トラック総合会館(全日本トラック防災・研修センター)の建設に着手した。同会館は、地下1階、地上11階建てで各種研修室に加え、免震構造で非常用発電装置なども備えている。2014年3月に竣工し、有事の際には全国の緊急物資輸送の中央司令塔としての機能を担っていく。

物流の基幹産業であるトラック運送事業の社会的な使命を果たすため、規制の再評価と必要な見直しの促進、ドライブレコーダの普及拡大を図るとともに、原価意識向上のためのセミナーの開催、事故防止、環境対策、少子高齢化に対応した労働力の確保、有事に備えた緊急輸送体制の確立を図るなど、時代の要請とも言うべき諸課題に果敢に取り組んできた。

特にコスト負担増となった軽油価格高騰に対しては5月に開催した「燃料価格高騰による経営危機突破全国統一行動」で、全国のトラック協会などが一丸となり、2万人規模で総決起大会、請願活動、街頭行進などの実施により、政府、国民に業界の窮状を広く訴えた。

この結果、国土交通省では燃料サーチャージ制の導入促進のため、日本経済団体連合会、日本商工会議所をはじめ地方の荷主団体に対して協力要請を行ってもらう一方、「トラック運送業の燃料サーチャージ制緊急ガイドライン」の改訂と、導入促進のセミナーをトラック協会との共催により、全国各地で開催してもらった。

安全対策は、常に最重要課題として位置付け、各種施策を強力に推進している。昨年は、事業用トラックが第一当事者となる死亡事故件数が一昨年を上回ったため、「2012年・下期事故防止緊急特別対策」を実施し、トラック追突事故防止マニュアルを活用したセミナーの開催や、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダなど安全対策機器の普及促進に努めたほか、新たに「WEB版ヒヤリハット集」を制作し、ホームページに公開するなど緊急対策に取り組んでいる。

貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)は、制度導入10年目となる昨年末現在で認定事業所数は、1万8119事業所に達し、安全性に優れた事業所として、荷主企業などから高い信頼を得ている。

今後は、認定2万事業所を目指し、業界内に対しては申請事業所数の増加、また、対外的にはGマークの認知度アップのための方策を推進するなど、Gマーク制度によりトラック運送業界全体の安全性の底上げを図っていく。

労働災害は、7割が荷役作業時に発生し、特に自社以外の構内作業中に多発しているため、荷主などに対する協力を求めるなど対策を実施している。近年の少子高齢化社会の進行や、免許制度改正の影響もあり、若年労働者の確保が困難になりつつあるなど、労働環境改善も喫緊の課題だ。

6万3000事業者の叡智と総力を結集して諸課題の解決に全力で取り組んでいく。