荷主国土交通省は8月27日に公表した来年度予算概算要求のなかで、海外との国際競争が激化する造船業の競争力を高めるため、建造工程のDX(デジタルトランスフォーメーション)や、船舶関連機器の安定生産体制の支援に取り組む方針を明らかにした。機械化などによるDX支援に1億8000万円、船舶関連機器の生産体制の安定化によるサプライチェーン強靱化に2億2000万円の予算化を財務省に求めた。
DX支援では、バーチャル空間上で最適化した製造工程を、高度な自動化技術を駆使して実現するDXオートメーション技術の開発・実証を行う事業者に対し、国が事業費2分の1を補助する。対象となるのは、造船、舶用事業者。
これまでの船舶の建造工程では、一部に工程の遅れが生じれば、全体の工程の遅れにつながっていた。しかし、シミュレーションソフトを使って、最適な建造計画を立てることで工程を効率化し、さらに、できあがった工程を理解し、自動で施工するシステムを導入すれば、飛躍的な省人化と効率化が実現する。同省はこのシステムが実用化されれば、人手不足への対応と船舶の効率的な建造、国際競争力の強化が同時に図れるとしている。
また、国内での生産途絶が懸念されている船舶用エンジンやエンジン部品、ソナー、プロペラなどの生産基盤を強化するため、必要な設備の導入を支援。国内のサプライチェーンの強靭化を図る。
船舶用エンジンについては、2ストロークは2025年まで、4ストロークは26年まで、ボトルネック工程(性能試験)で使用される設備の導入などを支援。2ストロークの船舶用機関に用いられるクランクシャフトについても、鍛錬などボトルネック工程の自動化設備の導入などを支援することで、国内生産基盤を26年までに強化する。
このほか、ソナーのボトルネック(原材料)に関連する設備の導入支援で、国内生産基盤を27年までに強化。プロペラのボトルネック工程(鋳造・加工)の自動化設備についても、導入を支援して生産基盤を27年までに強化する。
設備の導入補助は支援法人を通じて行い、補助率は3分の1とする。
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