拠点・施設日本触媒(大阪市中央区)は11日、リチウムイオン電池(LiB)用の電解質として使用されるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI、製品名イオネル)の国内供給体制を強化するため、新たな設備を福岡県に建設すると発表した。2028年の商業運転を目指す。
脱炭素に向けて、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の普及に取り組んでいる政府は、LiBについても、2030年までに国内で年間150ギガワット時の製造能力を確立するとの目標に掲げている。この方針に沿って同社も、LiB用の電解質として使用され、EVの充電時間の短縮化や航続距離の延長、低温環境下の出力向上などにつながるイオネルの安定供給に向け、生産設備を増強することにした。
同社の計画によると、イオネル新設備の生産能力は年産3000トンで、電解質として100%使用された場合のLiB容量は21.4ギガワット時となり、EV21万台分に相当する。建設用地は今後、福岡県内で新たに取得する。
この計画は、今月6日に経済産業省の「蓄電池等の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定された。投資額は最大375億円で、このうち供給確保計画の認定による助成金を最大125億円と見込んでいる。
LiFSIは高純度化が困難な物質で、その生産や品質管理には高度なノウハウが必要とされる。同社は独自の生産技術力で、世界で初めて残存溶媒や副生物が少なく、安定した電気化学特性を示す高純度LiFSIの工業的生産プロセスの開発に成功した。
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