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特定タンカー法改正案を閣議決定、LNGなど対象に

2026年10月16日 (金)

行政・団体国土交通省は16日、外国政府などによる船主責任保険の再保険停止に備え、原油に加えてLNG(液化天然ガス)や石油製品を輸送する船舶も制度の対象に加える「特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法」の改正案を閣議決定した。再保険の引き受けが禁止され、船舶の運航継続が難しくなる事態に備え、政府が再保険相当分を支える既存制度の対象を広げる。

船舶の運航では、油濁事故など第三者への損害賠償に備え、船舶所有者が船主責任保険に加入する。高額な損害に対応するため、日本船主責任相互保険組合(JPI)は欧米の船主責任保険組合などから再保険を受けている。一方、国際情勢の悪化などを背景に、特定の国から重要物資を輸送する船舶への再保険が外国政府などの措置で停止されれば、実質的に十分な保険を確保できなくなり、航海そのものが困難になる可能性がある。

現行制度は2012年、EUによるイラン産原油を輸送するタンカーへの再保険停止に対応するため創設された。政府が再保険相当分を交付できる仕組みを設け、原油輸送の継続を支える枠組みとして運用してきた。今回の改正案では、不安定な国際情勢を踏まえ、支援対象となる物資を原油だけでなくLNGと石油製品に拡大する。石油製品については、国民生活や経済活動に不可欠で、海上輸入への依存度などを踏まえて政令で対象を定める。

対象国の考え方も見直す。現行法はイラン産原油を前提としているが、改正案では、船主責任相互保険組合が所在する国や、その国が加盟する国際機関による措置で再保険の引き受けが禁止される国・地域を「指定国」とし、原油、LNG、特定石油製品ごとに政令で指定する。特定の国や貨物に固定した制度から、再保険規制の発動状況に応じて対象を設定する枠組みに改める。

対象船舶も広がる。改正案では、指定国産原油を輸送するタンカーに加え、指定国で積み込んだLNGを日本へ輸送する船舶や、指定国で積み込んだ特定石油製品を輸送する船舶を新たに対象とし、これらをまとめて「特定船舶」と定義する。これに伴い、法律の名称も「特定船舶に係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法」に改める。

政府の支援スキームでは、特定船舶の所有者がJPIなどの保険者と損害保険契約に加え、再保険が停止した場合の賠償義務などを担保する契約を締結する。政府は特定船舶所有者との間で交付金交付契約を結び、損害発生時に保険者が担保契約に基づいて支払った場合、その支払額に相当する交付金を保険者に交付する。外国政府などによる再保険停止時に、通常の再保険に代わって政府がリスクを支える仕組みとなる。

改正案は公布後3か月以内に政令で定める日に施行する。制度拡張により、原油だけでなくLNGや石油製品についても、外国政府などによる再保険禁止措置で再保険が受けられなくなった場合に、輸入船の運航継続を支える枠組みを整える。政府は、重要物資の海上輸送が保険面の制約で止まる事態を回避し、エネルギーや重要物資の安定供給につなげる考えだ。

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