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より深刻な下請け運送会社の人手不足要因

月間時間外労働が最大246時間、関東西部運輸書類送検

2017年5月10日 (水)

話題千葉県の柏労働基準監督署は10日、西部運輸傘下の関東西部運輸(千葉県野田市)が1か月あたり最大で246時間にのぼる時間外労働を行わせていたとして、同社と社長を千葉地検松戸支部に書類送検した。

柏労基署によると、同社は2016年3月1日から同年4月30日までの間、労働者4人にいわゆる「36協定」(労働基準法第36条に基づく時間外労働に関する協定)で定めた1か月127時間の時間外労働時間の上限を超え、週あたり最大63時間、1日の上限(7時間)を最大12時間15分超える時間外労働を行わせていた疑い。1か月間の違法な時間外労働は最大246時間に達したという。

親会社である西部運輸(広島県福山市)の担当者は「書類送検に至ったことは真摯に受け止めている。西部運輸グループ本部として3年前から指導してきたが、特に関東西部運輸では仕事量に対して採用が追いつかなかった」と、物流業界全体が抱える「人が集まらない」という課題を改善できないなかで、仕事量が増えていく状況にあったことを明かした。

さらに「グループ全体で労働時間の短縮に取り組んでいた」としながらも「ダメなものはダメだと認識している。適法な範囲内で受託することを徹底するため、今後は適正レベルまで仕事量をコントロールしていく」と話し、運行回数の削減に着手するとともに、運転者の労働状況を適切に把握・管理するため、運行車両へのデジタルタコグラフの装着を急ぐ考えを示した。

関東西部運輸が最大とはいえ246時間にのぼる時間外労働をさせていたのは、物流業界全体で人手不足が深刻化しているといえども異常だ。しかし一方で、下請け運送業務中心の同社が書類送検されたのは、ヤマト運輸や日本通運などが訴える人手不足の問題以上に、全国6万社以上の運送会社の多数を占める下請け運送会社が、より深刻な事態に陥っていることを示唆している。元請け会社がさばききれない運送業務を受託することによって事業の命脈を保っているのが、これらの下請け運送会社であることを考えなければならない。

■西部運輸の担当者との主なやり取り
――月間で最大246時間の時間外労働は異常だが、違法だという認識はなかったのか。

西部運輸:もちろん違法なことはわかっていた。今回の書類送検は真摯に受け止めている。3年前から西部運輸グループ全体で労働時間の短縮に取り組んでいたが、徹底しきれなかったことは情けない。

――西部運輸は広島のグループ本部を中心に関東、東海、大阪、岡山、東北など幅広い地域で実運送業務を中心に展開しているが、違法な労働時間は関東西部運輸だけが改善できなかったのか。

西部運輸:関東は特に運送需要が大きく、受託する仕事量が増え続けていた。一方で採用が思うように進まなかった。速やかに改善したい。

――改善するといっても物流業界全体が採用難に喘いでいる。どんな改善策を考えているのか。

西部運輸:当社は実運送中心の事業構造なので大手物流企業からの下請け業務が多い。荷主となる元請け会社も人手不足だからということで、ある意味、そのしわ寄せが下請け運送会社にきていたともいえる。しかし、これ以上(違法な労働時間を続けること)は会社の存続問題にもつながりかねないため、適正な水準まで業務量をコントロールしていく。

――最大ではあるが、時間外労働は最大246時間。これを適正水準まで減らすのは可能なのか。

西部運輸:246時間といっても、その大部分を「荷待ち時間」が占めている。また、法的には休憩にカウントされない休憩の取り方も少なくない。デジタルタコグラフの導入を進め、管理を徹底しなければならない。デジタコを全車両に装着した、関東以外のグループ会社で実際に労働時間の短縮につながっている。

――関東西部運輸におけるデジタコの装着率は。

西部運輸:すでに半分以上の車両で装着が完了している。

――全車両への装着はいつになるのか。

西部運輸:機器は車両台数分、確保できているので早急に取り付けたい。