ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

新東名にオープン型中継物流拠点、遠トラの狙い

2018年4月25日 (水)

話題中日本高速道路(NEXCO中日本)と遠州トラックが組み、新東名高速道路浜松サービスエリア下りですべての物流事業者に開放する「中継物流拠点」が、今夏にもオープンする。両社の狙いは――。

関連記事「新東名浜松SAに中継物流拠点、NEXCO中と遠トラ連携、物流事業者に開放、今夏オープン」
https://www.logi-today.com/315283

NEXCO中日本は道路インフラという公益性の高い事業の担い手として、日本の大動脈である東京・大阪間のほぼ中間に位置する浜松SAに中継物流拠点を開設することで、トラックドライバーの長時間労働改善に取り組む物流事業者の「働き方改革」を支援し、社会的な責任を果たしていくのが目的。

一方、浜松を「地元」とする遠州トラックは、周辺に複数の自社拠点を構えている関係から自社が中継拠点として利用することはあまり想定しておらず、これまでに中継拠点を運営した経験もないという。拠点運営に携わることで得られる収益も、同社の業績を左右するレベルにはない。

遠州トラックはどのような効果を見込んでいるのか。

実は2017年度から19年度までの3年を期間とする同社の「新中期経営計画」に、「関東・関西の中間に位置する静岡で中継拠点を新設し、乗務員の負担を軽減しながら長距離輸送の需要に対応」することを目指す中継輸送と、「静岡の食品を起点に構築してきた共同配送基盤を北関東から関西まで増強し、取扱品目も拡大」するという共同配送に取り組む方針が掲げられており、これらの事業戦略に基づき、実運送会社として静岡エリア発着の取り扱いを増やしたい思惑が「素地」としてあったといえる。

国土交通省が主導する働き方改革の中でも「高速道路のSA・PAを活用した中継輸送」への取り組みが盛り込まれるなど、物流業界で中継輸送へのニーズが高まる中、NEXCO中日本は中継拠点としての立地に優れ、スペースも確保しやすい浜松SAへの中継物流拠点の開設を企画。複数の物流事業者に打診した結果、地の利があり、中計輸送に高い関心を示していた遠州トラックをパートナーに選定した。

遠州トラックとしては、中継拠点運営を直接の収益源として重視するというより、静岡発着の関東・関西向け輸送需要を取り込むきっかけとしたい考えで、拠点を利用する物流事業者などとの接点を増やす狙いがあるとみられる。