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国交省、全運送業者対象、監査強化へ抜本的見直し検討

2012年8月7日 (火)

行政・団体7人が死亡した関越自動車道の高速ツアーバス事故を契機として、国土交通省はすべての自動車運送事業者に対する監査の抜本的な見直しを行う方針を固めた。「自動車運送事業者に対する監査のあり方に関する検討会」を設置し、10月中に方向性を打ち出す。来年3月に最終的な取りまとめを行い、制度改正や法改正に向けた準備に着手する。

 

検討会では、悪質な運送事業者を確実に排除する制度設計のあり方、全運送事業者に対して網羅的に指導するための制度設計のあり方といった監査目的・方針を明確化し、悪質事業者に対する処分の厳格化、監査方法の効率化、監査体制の強化を検討する。

 

具体的には、悪質な事業者に対して即時に許可取り消し・事業停止処分を行うことができるようにするほか、処分逃れ対策として課徴金のような金銭的処分の導入、監査時に運行記録計などのIT機器を活用できるようにする――といった項目について、「馴染むかどうかを含めて検討する」としている。検討会は8日に初会合を行い、10月までに3回程度開催する。

 

■検討会で具体的に検討する項目
(1)監査の実施方法
①悪質な可能性がある運送事業者の効果的な抽出
・運送事業者を巡回指導する「適正化事業実施機関」などによるスクリーニング
・利用者、自動車関連情報の活用
・運行管理情報の電子的提出による確認など
②監査業務の効率化
・監査手法の見直しの必要性
・監査でのIT機器の活用など

 

(2)実効性のある処分のあり方
①悪質な運送事業者に対する処分の厳格化
悪質な運送事業者に対して即時許可取消し・事業停止
・違反割合などを考慮した処分量定の必要性
・処分逃れなどへの対策
金銭的処分の可能性

 

(3)監査に係る体制
①監査をサポートする体制の整備
・貸切バス事業者などを巡回指導する「適正化事業実施機関」の設置など
②監査官の能力向上
③必要な監査官の確保

 

■検討会委員
寺田一薫氏(東京海洋大学海洋工学部流通情報工学科教授、貸切バス事業者の安全性等評価・認定制度検討委員会委員長)
植松慶生氏(公益財団法人日本適合性認定協会部長、ISOの管理システムの専門家)
梅林啓氏(弁護士、企業コンプライアンスの専門家)
櫻井敬子氏(学習院大学法学部教授、行政法の専門家、社会資本整備審議会委員)
前山政之氏(横浜国立大学経営学部会計・情報学科教授、監査論の専門家)
事務局:国土交通省自動車局
オブザーバー:地方運輸局監査担当ほか、関係行政機関