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ヤマトHD1Q、売上7.8%増も最終赤字

2025年7月30日 (水)

財務・人事ヤマトホールディングス(HD)は30日、2026年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比7.8%増の4373億円と、法人部門のプライシング適正化や宅急便部門の取扱数量拡大、法人向けビジネスの拡大により増収となった。

営業損益は64億円の赤字となったものの、前年同期の142億円の赤字から77億円改善した。宅急便ネットワークの強靭化に向けた人的投資やネットワーク投資を実行しつつ、輸送領域のオペレーション見直しや間接コストのコントロールに注力した結果、改善幅を確保した。最終損益も54億円の赤字と、前年同期から46億円改善した。

同日開いた決算説明会では、物価上昇と実質賃金減少の継続により国内の消費マインドが停滞し、地政学リスクの高まりなどにより景気の先行きは依然として不透明との認識を示した。

同社は26年3月期の大幅増益に向け、3つの利益成長ドライバーを推進している。1つ目のプライシングの適正化では、法人部門の単価が6四半期ぶりに上昇に転換した。前期から進めてきた交渉結果が順次反映し、低採算顧客を中心にプライシング適正化が進展。EXP事業の売上高(外販)は同2.8%増の3632億円となった。

2つ目の法人向けビジネスの成長では、コントラクトロジスティクス(CL)事業とグローバル事業ともに案件パイプラインが着実に増加。CL事業の営業収益(外販)は94.8%増の377億円、グローバル事業は13.2%増の248億円となった。ナカノ商会の連結効果やノウハウ活用により、将来収益につながる案件パイプラインを拡大している。

3つ目のオペレーティングコストの適正化では、輸送領域を中心に輸送効率化と作業生産性向上によるコスト削減施策を推進。輸送コストは前期比較で月を追って改善しており、施策が成果につながりつつある。

宅急便部門では、相対的に単価の高い宅急便で取扱数量を拡大し営業利益を押し上げる方針を継続。宅急便・宅急便コンパクト・EAZYの取扱数量は2.6%増の4億6317万個と、3四半期連続で増加した。また、説明会では近年、不在率の低下に反比例して上昇する置き配指定個数について言及。オペレーションコスト削減のための置き配ではなく、ユーザーの希望に基づいて置き配する旨を強調した。

セールスドライバー(SD)稼働当たり収入は着実に増加しており、EC顧客とのシステム連携強化により、顧客指定に基づく置き配指定個数が2倍に増加。これにより不在率が7.6%から1.1ポイント改善し、SDは集荷の比重を拡大できている。

26年3月期の連結業績予想は、売上高が前年比6.7%増の1兆8800億円、営業利益は同2.8倍の400億円と据え置いた。利益率は前期の0.8%から2.1%へと1.3ポイント改善する計画。一方、最終利益は特別損益の影響などにより36.7%減の240億円を見込む。

同社は引き続き、プライシング適正化、宅急便収入拡大、法人向けビジネス拡大、オペレーティングコストの適正化に注力するとともに、バランスシートマネジメントを強化し、持続的な利益成長と企業価値向上につなげる方針を示した。

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