
▲CNF複合樹脂「ELLEX-R67」商用プラント(出所:大王製紙)
サービス・商品大王製紙は29日、同社の三島工場(愛媛県四国中央市)で今月から、植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)を混ぜ合わせた複合樹脂「ELLEX-R67」の商用生産を開始したと発表した。CNFを67%含む高濃度ペレットで、自動車部材や家電製品、建材、物流資材、日用品、容器・包装など幅広い分野での活用が期待されている。
CNFは、セルロースを主成分とする植物繊維をナノ(10億分の1)メートルサイズにまで微細化した素材で、軽量で強度が高いという特徴を生かし、炭素繊維などに代わる樹脂の高性能補強材として期待されている。ただ、樹脂補強材としては製造コストが高いのが課題だった。
国もCNFを活用した産業育成に取り組んでおり、同社は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成も受けながら、CNFの前処理プロセスや複合樹脂の生産性を飛躍的に改善する製造プロセスの開発に取り組んできた。
その結果、CNF前処理プロセスで、樹脂となじみを良くするために尿素によってセルロースをカルバメート化する技術を確立。また、複合樹脂の生産性改善では、水分を持ちやすく微細なCNFを均一、高効率に樹脂と複合化する技術を、芝浦機械と共同で開発した。
これらによって、同社は複合樹脂中のセルロース高濃度化技術を向上させ、複合樹脂のセルロース濃度をこれまでの55%から67%へ高めることに成功。課題となっていた生産性を改善し、大幅に製造コストを削減するとともに、大量製造を可能にした。同社は22年11月から、ELLEX-R67のサンプル供給を開始し、昨年4月には四国中央市の回覧板の材料に採用された。同年5月からは三島工場で商用プラントの整備を始め、今月営業運転を開始した。
LLEX-R67は、従来の樹脂に比べて剛性が向上し、材料の薄肉化が可能となった。このため、製品の軽量化や減プラスチックを図れる。また、繊維が破断しにくいことから物性低下が小さく、マテリアルリサイクルの観点でも優位性がある。さらに、再生プラスチックの利用促進に向けて、質の低下を補う素材としての利用も期待できる。
同社では今後、自動車部材をメインターゲットとして利用拡大を図り、供給量を増大するとともに、他の企業と連携した用途開発でCNFの事業化の拡大を目指す。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。