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ビーイングHDが東証2部上場、M&Aで業容拡大

2020年11月11日 (水)

(出所:ビーイングHD)

財務・人事北陸地方を中心に、関西・中部・関東・東北で3PL事業を展開するビーイングホールディングス(石川県金沢市)は10日、同社の東証2部新規上場が同日付で証券取引所から承認されたと発表した。12月15日に上場する見通し。

同社の2019年12月期の連結売上高は162億円(前年同期比17.8%増)で、このうち物流事業の売上高は154億円(18.4%増)。主要取引先であるクスリのアオキ、三菱食品、PALTAC(パルタック)との取り引きが全体の半分以上を占める。9月末時点の従業員数はおよそ900人で、臨時雇用者を含む全従業員は1800人。19年12月期の経常利益は前年同期比66.7%増の5億5200万円。

同社は、1986年に車両1台・社員1人で鶏肉の卸売配送を行う運送会社として金沢市で創業後、北陸地方を中心に事業を拡大し、97年に食品物流センターを運営する会社を設立。その後は運送会社や低温物流センター運営事業者、ガソリンスタンド運営会社、車両整備会社などを買収し、東海・関西・関東地方で食品や日雑品を取り扱う物流センターを次々と開設した。

(出所:ビーイングHD)

現在は東北から関西までの15都府県で43の物流拠点を運営し、食品卸やコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストアなどの物流業務を受託しているほか、倉庫管理システム(WMS)や輸配送管理システム(TMS)、生産性管理システム(PMS)の開発も手がける。

同社はM&Aで観光バス会社やタクシー会社も傘下に収めているため、事業内容は、3PLを主軸とする物流事業のほか、旅客、不動産、システム開発、保険代理店、自動車整備、燃料販売事業など多岐にわたり、グループ11社が連結子会社となっている。

今後は、拠点間物流を合理化するシステム開発を進め、サプライチェーンに関わる事業者をつなぐデータプラットフォームを構築。これを同業他社にも提供することで、「小売ビジネスの物流プラットフォーマー」を目指すほか、車両数・拠点数の拡大にも取り組み、21年10月には金沢市で新たな物流施設を開設する。

物流業界にとどまらず朗報

業界内からまた1社、新規上場の報が届いた。本年3月に大阪の関通がマザーズ上場を果たしたが、それに続く今回の新規上場は、コロナ禍にあって沈みがちな業界に何よりの明るい話題だ。

ビーイングHDの主要荷主構成をみれば、業界大手のパルタックや流通に強い三菱商品、さらには近年成長著しい同社と同じ石川県に本社を置くクスリのアオキなどが名を連ねている。急成長による物流需要旺盛な勢いのある荷主や確固たる地位を築いて久しい古豪企業などの物流パートナーとして、ともに栄えている様がうかがえる。多角的経営が持ち味と読み取れる会社沿革からは、既存市場への肩入れにとどまらず、持ち味である他分野事業の融合による新サービスや別角度からの切り口創出を期待したい。

経済成熟や停滞が常態化する中、新勢力の台頭は、物流業界だけでなく、経済界全体に活気と希望をもたらすに違いない。今後の躍進を願うばかりだ。(企画編集委員・永田利紀)