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「都道府県が事業主体」はこれからの本流/解説

2020年12月21日 (月)

行政・団体地方自治体による独自サービスの拡大は今後も加速の一途となる。なぜなら国は今までのような財政支援を維持できなくなるからだ。しかも方策の基本までは示しても、その先は「それぞれに運用願う」となるに違いない。

そうなると必然的に横並び意識や国を向いてのお伺いはなりをひそめる。お伺いを立てるのも意識するのも、その相手は常に住民で、さらには今まで以上に数多くやってきて欲しい転入者候補となるはずだ。いわゆる「楽市楽座」政策が各地で起こるだろうと予測している。

「わが地のスーパーシティとは…」がつづられた大綱を掲げたら、次は物流や商流の再構築や強化拡大の果実である生活支援や災害準備へのアピールとなるはずだ。

加賀市、移動・物流の未来社会構想で事業提案公募
https://www.logi-today.com/412952

(イメージ画像)

北陸の雄とされている石川県でさえ、過疎地域の増加と都市部での少子高齢化の進展は例外どころか、喫緊の課題として目の前に立ちふさがっている。金沢・羽咋・白山などの各市には名門企業の物流センターや工場、地元資本の古豪たる物流会社が名を連ねている。交通の要衝でもあり、大消費圏である関東・東海・近畿圏からも陸路・空路でつなげば時間的には許容できる範囲だと評価する向きも多い。

何よりも上記に挙げたブロックへの機能と人口の集中を分散緩和するためには、他ブロックの主要都市が果たす役割は大きい。

石川県内の道路整備の普及は、誰もが高く評価するところだ。そえゆえにモノを介在するつながりは物流機能の連結や延長で手当てできる。つまり消費をまかなうインフラの心配は無用であり、人が暮らすうえでの基礎条件はすでに満たされている。「大消費地の都市部と遜色なく」を想定していることは言うまでもない。

先端技術を具備した地域の課題解決には総論賛成だが、AIや機械頼みの前に、まずは人材発掘と外部エリアからの募集を心がけるべきだ。地域の問題はそこに暮らす者が解決するという基本を専らとし、新規事業の創出などと並行させることで、自ずと活力が生まれる。

労働集約型であり、主機能から派生した関連サービスや異質な利用方法などが模索できるという点で、物流事業はスーパーシティ構想にぴったりではないだろうか。全国の自治体からユニークで熱い事業構想が発表ことを心待ちにしている。(企画編集委員・永田利紀)