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クロス・マーケティング調べ

今後の宅配、カギは「手間いらずの小さな梱包」か

2021年8月6日 (金)

話題宅配サービスは便利だけど、梱包が大きすぎてゴミ出しが面倒--。マーケティング・リサーチ事業を展開するクロス・マーケティング(東京都新宿区)が7月末に実施した「宅配サービスに関する調査」で、こんな声が相次いだことが分かった。コロナ禍によりEC需要の拡大が続く中、各種商品の宅配サービスやフードデリバリー、ネットスーパーの利用状況などをインターネットで聴取したもの。全国47都道府県の20代から60代の男女を対象に、1100の有効回答(複数回答)を得た。

消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染症の拡大で、すっかり定着している感もある宅配サービス。輸送時に商品を守るため梱包が過剰になりがちだが、消費者ニーズに対応した取り組みも求められそうだ。

今回の調査では、直近3か月におけるネットスーパーや食品宅配サービスの利用者は24.9%に上り、フードデリバリーの利用者も25.7%と、ともに4人に1人が利用。各種の宅配サービスが、着実に日本の消費社会に浸透している状況が明らかになった。しかし一方では、商品の梱包に関して「ゴミ出しが手間」「大きすぎる」といった声も多いことが判明。宅配関連各社の品質・サービス競争に関しては、まだまだ改善の余地が大きいと言えそうだ。

(出所:クロス・マーケティング)

「宅配サービスの梱包について気になること」の1位は「ゴミ出しが手間」で25.9%。2位は「商品に対して梱包が大きすぎる」で24.2%、3位は「ゴミ出しの日までかさばる」で23%となり、宅配サービスの梱包においては、段ボール箱などの梱包材の「捨てる手間」と「梱包が過大」の2つが、利用者にとって主なストレスとなっている状況が伺える結果となった。以下も「緩衝材を捨てる手間がかかる」「緩衝材がゴミ箱の場所を取る」が続いており、今後の宅配には「手間いらずの小さな梱包」がより強く求められることになるだろう。

印象に残った梱包(抜粋・出所:クロス・マーケティング)

なお、6位以下の回答では「住所氏名の紙がはがしにくい」「段ボールにまかれているビニールがはがしにくい」など「開封時の手間」に関する回答が目立ち、包装の手法についても改善の余地がありそうだ。

「感心した梱包」に多くのヒントが

同調査では「印象に残った梱包」を問う質問もあった。「感心した梱包」の例として「ふた部分がはめ込み式になっておりガムテープが使われていない、または少量で済む梱包材があった」(50代男性)や、「冷凍食品の保冷箱が発泡スチロールではなく、段ボール箱と断熱の緩衝材でうまく簡易包装されていた」(60代女性)、などの声が上がった。

一方で、「友人がソファーベッドを買ったので空の段ボールを2人がかりでたたんでゴミに出したが、一人で片づけるとなるとなかなか買う気になれない」(50代女性)と、梱包のあり方が購買意欲をそぐ結果につながったことが分かる回答もあったという。これらの好事例や、思わぬ事例から宅配関連業者が学ぶことは多いだろう。こうした消費者の声を常に意識しながら、梱包を含めた商品開発に取り組んでほしい。(編集部・行松孝純)