フードニチレイロジグループ(東京都千代田区)は10日、次世代輸配送システム「SULS」(サルス)を稼働したと発表した。
働き方改革関連法により2024年4月1日から「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用されることで生じる「物流の2024年問題」への対応は、輸送業界における喫緊の課題になっている。特にトラックドライバーの確保は、社会に不可欠なインフラである物流を維持する観点からも極めて重大な問題だ。
ニチレイロジグループは、顧客のサプライチェーンを支える食品低温物流事業者として、グループが持つ強みを最大限に活用して持続可能な低温物流サービスを持続的に提供していくため、輸配送システムの革新に着手した。
SULSの名称は「S&U Logistics System」の頭文字に由来。「S」にはSpeedy(よりスピーディに)、Sustainable(持続可能な)、Solution(課題を解決する)の意味を、「U」にはUtility(より効率よく)、Usability(より使いやすく)、User Experience(高い体験価値)の意味をそれぞれ込めた。
グループの強みを掛け合わせることで 「3つのS」を生み出すとともに、社会や顧客に「3つのU」を提供していく意思を表現した。
SULSは、グループの拠点間輸送で荷台部分の切り離しが可能なトレーラーを活用するほか、荷積み・荷下ろしなどの作業を乗務員ではなく拠点で行うことにより、トータルの運行時間を大幅に短縮し効率的で持続可能な輸送基盤を構築。トレーラーをグループで保有して中継拠点に常に荷積みされた状態で用意しておくことで、車両到着後すぐに次の目的地への運行に移る仕組みを整えて輸送能力の大幅な拡大につなげていく。
このような運用を可能とするのが、グループが持つ「全国約80か所の自社運営拠点」「国内最大規模のベースカーゴ」「全国95社の運送協力パートナー」だ。これらの強みを有機的に組み合わせることにより、2024年問題においても「運べなくなるリスク」を発生させることなく、発注のフレキシブル対応による利便性の向上や環境負荷の軽減、コスト面での効率化なども実現。サステナブルな低温物流サービスの持続的な提供を可能とする。
ニチレイロジグループは、まず東名阪の拠点間輸送にSULSを導入。今後は全国へ順次拡大していく方針だ。
ニチレイロジグループはSULSの稼働を契機として、低温物流における輸配送をより高品質で持続可能なかたちに進化させることで、これからも顧客のサプライチェーンを支えていく。