行政・団体全日本トラック協会は18日、東京都の明治記念館で全国トラック協会長会議を開催、全国のトラック協会長からは2024年問題に取り組むトラック運送業界の状況を反映し、会議に参加した国土交通省への質問や高速道路の大口割引を求める意見が上がった。
主な意見は労働基準法の改正に伴う残業時間規制の順守、多重下請け構造の是正、高速道路料金の見直しなど。
坂本克己全ト協会長のあいさつの後、国土交通省の三輪田優子貨物流通事業課長は4月から施行された改善基準告示の改正で年間残業時間が960時間に制限されたことを取り上げ、事業者がこの規制を順守できるよう、ドライバーの残業時間を確認する必要があると強調。業務の見直しや荷主への働きかけが必要とした。また、都道府県のトラック協会に対し、この規制の徹底を周知するよう要請した。
業界の健全化に向けた取り組みとして、地方運輸局と連携した監視体制の強化が提案された。国交省からは、地方適正化事業調査員の選任や研修の実施、情報共有の促進を通じて、より厳格な監視体制を構築する方針が示された。また、改正物流法の施行に伴い、国交省から荷主所管官庁への意見具申が可能となることから、情報収集体制の強化も併せて検討していることが明かされた。
長年にわたり業界内で課題とされている多重下請け構造の是正についても、実態調査を行った上で対策を検討する方針が説明された。三輪田氏は「荷主と運送会社間の関係性や付加価値の有無などを調査し、透明性の向上を目指す」と述べ、「必ずしも多重下請け構造すべてをただちに是正する対象と見なすわけではないが、「掲示板に情報を表示しているだけの求荷求車マッチングサイトなどもあると聞いている」と指摘。「標準的運賃で示されている利用運送手数料10%が適切なのかという問題意識を持っている」と発言した。
このほか、物流事業者の利便性向上に向け、高速道路料金の割引制度についても意見が交わされた。大口多頻度割引の実質50%割引化や、深夜割引の対象時間帯の見直しなどが具体的な施策として挙げられたが、地域によって割引率が異なる点や、一部有料道路が割引対象外であることなど、解決すべき課題も多いことが指摘された。
全国各県のトラック協会においても、飲酒運転根絶や路上投棄防止に向けた取り組みが継続的に行われているが、各協会ではドライバーや事業所が自主的に飲酒運転根絶を宣言し、警察との連携を強化することで、交通事故防止に努めている、といった取り組みを共有。ごみのポイ捨て防止には、携帯トイレの配布や啓発活動が有効に機能しているという報告があった。
このほか、千葉県トラック協会の池田和彦会長は「成田空港における航空貨物の取り扱いにも問題が浮上している」と発言。予約システムの導入が進められているが、それに伴う長時間労働の問題は依然として解決に至っていないとして、システムの周知と改善が急務であり、関係各所への働きかけが重要と強調した。
運賃設定の適正化に向けた意見も出された。現在の運賃設定基準が実態に即していないとの指摘があり、見直しが必要であるとされた。
近年増加しているタイヤ脱落事故防止に向けた取り組みの強化を求める声も上がった。メーカーによる製品の改善や、国交省との連携を通じた対策が求められており、業界全体での安全性向上が急務である、との意見が出された。
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